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セミの羽化

我が家ではなぜか毎年夏休みに入ると、セミの羽化を近所の大きな公園に見に行くことが恒例行事となっています。

この季節はとにかく蚊が多いので、虫除けスプレーや虫除けブレスレットなど万全の対策をして臨みます。
それでも塗り漏れている箇所など刺されてしまうこともあるのですが。

去年までは夕飯後の暗くなった時間に行っていました。公園内がとても暗いので懐中電灯やランタンを持っていきます。
公園内の道は足元を照らさないとよく見えないのですが、気をつけないとセミの幼虫が歩き回っています。
羽化を見に行ったのに踏みつけてしまっては申し訳ないので、細心の注意を払って歩きます。

至る所でセミの幼虫が羽化に適した場所を求めて彷徨い歩いています。
力強く木の上の方に登っていくもの、弱々しくもう登る元気もなさそうなもの、何度も落っこちては登るを繰り返すもの
観察していると色んなセミの巣立ちの様子をみることができます。

いつも公園内が真っ暗で見えないので、今年はもう少し早い時間帯に行こうと夕飯前に行きました。まだほんのり薄暗い時間帯です。
すると、全然セミの幼虫がいない。。。
今年は時期がずれた?時間帯の問題?
わかりません。

セミの代わりにいるのが物凄い数のカラス。
怖いです。恐怖です。
カァーカァーカァーカァー
何のために鳴いているのでしょう。
縄張り争いでしょうか。

公園を一回りして何とか4.5匹の幼虫を見つけることができました。去年はあちらこちらで見かけたのですごく少ないです。

そのうちある1匹の幼虫に子どもが情を感じたようで、こいつ何度も木から落っこちてきちゃうんだよと言って、良さそうな木を探してあげていました。良さそうな木が見つかったようでそこに幼虫を置きました。
私は何度も落っこちてしまうのはもう弱っているのでは?弱っている幼虫は羽化はできないかもと思いました。

子どもが大事に手のひらに乗せて良さそうな木の根元にそっと置きました。
その木の根元には少し葉っぱが生えていました。それまで木の幹にばかりよじ登っていた幼虫が、葉っぱにたどり着きました。そして葉っぱの裏側を彷徨っています。

その少し前に葉っぱの裏にたくさんの幼虫の殻が付いていたのを見かけていました。どうして幹ではなく葉っぱの裏でみんな羽化したんだろう。幹の方が安定していて羽化しやすそうなのに。葉っぱは揺れるし危ないんじゃないかな。
そう思っていました。

でも子どもが拾った幼虫が、葉っぱの裏を彷徨っているのを見てわかりました。
葉っぱの方が揺れるけど、手によく引っかかるのは葉っぱの方なんだ。
木の幹はしっかり引っかかっていないと、落下してしまうのだなと。落下すると幼虫はその分ダメージを受けて、疲れて羽化できなくなってしまいます。

拾った幼虫は葉っぱの裏をグルグルと彷徨い続けていたので、この辺りで羽化することにしたんだなと思いました。

ここで夕飯のために一度家に戻りました。

夕飯後、あの幼虫がどうなったかを確認したくて再度公園に行きました。どうか無事でありますように。

すると、願い通りその幼虫は見事に羽化を終えて蝉の姿に変わっていました。

なんて感動的!
もう弱っているのでは?無理なのでは?
と思った幼虫が、さっきまで茶色かったあの幼虫が立派なセミに変身したのです。
しかも子どもが見つけてあげた場所で。

今度このセミの抜け殻を取りに行きます。
ありがとう、セミさん。

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