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Avignonでのホームステイ

私がホームステイをしたのは今から17年前。南フランスにあるアヴィニョン郊外のお家でした。 フランスで初めての新年を過ごしたのもこのホームステイ先のお家です。 

オリーブの木が所々に植えてある広い敷地内に、3軒の家がたっていました。それぞれの家に兄弟 が住んでおり、そのうちの1軒に住むジャンピエールとアニーのお家にお世話になりました。敷地内を車で進んでいくと、玄関の前にある圧倒されそうな大きさのミモザの木が目に入ります。その反対側にレンガ作りの倉庫があり、そこには庭でとれるラズベリーやキウイ、イチゴ、アンズなど の果物を使ったアニーの手作りジャムや、ジャンピエールが大事にしているワインが保存してあり ました。 

南仏にはミモザがいっぱい

ジャンピエールに初めて会った時、「僕は日本語ができるんだ」と笑顔で話しかけてくれました。 ですが、その言葉にほっとしたのもつかのま、元柔道家のジャンピエールができる日本語とは、 «いち、に、さん、まて、はじめ »のみ。毎朝私に会うと嬉しそうに柔道のお辞儀をし、Tu as bien dormi (チュア ビヤン ドルミ) 「よく眠れた?」と聞いてくれました。家事は得意では なかったみたいだけれど、ジャンピエールがお店で買うチョコレートや栗のムース、チーズには外れがありませんでした。その後の一人暮らしで甘いものが食べたくなった時、毎回ジャンピエール のお勧めデザートを思い出しては買っていました。帰りが遅くなった時に電話をすると、「靴をはいてから家を出るまでにこれから1分かかる!」といつも同じセリフを言って、どこにいても車ですぐに迎えにきてくれました。フランスの昔話しを夜遅くまでしてくれたり、宿題をみてくれたり、 食事のマナーを教えてくれたり、本当の家族のように接してくれました。 

夜に初めてPalais des papes(教皇庁)を見たときは、感動しました。

おしゃれなマダムのアニーは美容学校の先生。外出する時は、マスカラをばっちりつけて、手には綺麗な色のマニキュアを塗り、ものすごい音がする今にも壊れそうな愛車をかっこよく乗りこなし ていました。常に鼻歌を歌い、背筋をピンと伸ばして颯爽と歩く姿が印象的でした。ジャンピエー ルとは反対に、はっきりと物事を言うアニーに、何度もフランス語の発音を直されましたが、ここ での経験が、その後の自分のためになったのは言うまでもありません。そして私は何より、彼女の料理が大好きでした。マルシェで買った新鮮な野菜や、庭にあるタイム、バジル、ローズマリーな どのハーブを使った料理が得意でした。日本にいた時には知らなかった、フランスの家庭料理の数々。アーティチョークに白アスパラ、エスカルゴ、魚のすり身を使う料理のクネルを初めて食べ たのもアニーのお家でした。 

南仏で私が一番好きな街、Gordesの絶景

ホームステイをやめて隣町で一人暮らしをすることを決め、2人の家を出る朝、「これから揃えるの 大変でしょ」とテーブルの上に食器、シーツ、タオルや食料を用意してくれ本当の親のように送り 出してくれました。その後も週末にはお昼を食べに帰ったり、学校やアパートの件で相談があると電話をしていました。今でも手紙のやり取りは続いており、毎年来るクリスマスカードを楽しみに しています。 

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