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ずっと憧れだった学校の先生を辞めた話

はじめに

 3月末に学校の非常勤講師を退職し、4月からIT企業へ転職しました。

 正規教員の労働の実態はよく見かけるのですが、非常勤講師の実態はあまり見かけたことがなかったので、退職を機に書いてみました。
 教員志望の方で、正規教員にはなれなかったけど、非常勤講師を目指すという方は本記事をお読みになって少しでも参考になれば幸いです。
 長いですが、興味のある方はぜひお付き合いください。

私が在籍していた学校の職場環境が良くなかったせいもあり、かなり辛口で書いています。あくまでも一例としてお読みください。中にはホワイトな学校もあるようです。
 

1. 書いている人

・学生の頃から教員になることが夢だった。
・私立中学校・高等学校の非常勤講師として5年間勤務
・学習塾でのアルバイト経験を含めると10年くらい教育業界に在籍
・学校・塾共に受験指導経験あり。(高校・大学受験)
・20代後半(アラサーだと信じたくない)

2. 非常勤講師ってどんな仕事?

・主に授業が主体。だが、他にも
○部活動の顧問
○課題チェック
○定期試験問題の作成・採点
○定期・外部試験の監督
○春期夏期冬期といった特別講座
○生徒の質問対応
○生徒のメンタルサポート

などがあります。
家に帰っても授業準備や正規教員採用の勉強で24時間仕事のことを考えている感覚です。
私はやってはいませんでしたが、部活の顧問になるとめちゃくちゃ忙しそうでした。

3. 非常勤講師の待遇ってどうなの?

○正規教員が上限によって持てないコマ(科目)を講師が受け持つといった学校の調整弁です。
○受け持つコマ数(科目数)=給料
○基本的に1年契約で、その都度契約を延長する仕組みです。(産休代替など特殊なものは除く)
○2015年の派遣法改正によって、一つの学校に最長5年間しか契約更新が出来なくなりました。

ただし、5年雇用されれば無期雇用として採用される場合があります。
学校にもよると思いますが、無期雇用は仕事を貰える保証は無いです。年によってはコマ数が0ということも。
学校によっては、5年ではなく、4年、3年で契約終了の所もあります。
(求人票に記載されている)

○社会的には非常勤講師はアルバイトという扱いです。(個人事業主)
○雇用保険無し
○自治体の国民健康保険に加入
(学校によっては私学共済に加入させてくれるらしいですが、かなり少ない認識です)

○年金や住民税等はすべて自分で支払いに行く必要があります。
(学校によっては住民税は事務でやってくれる所もあります)

○毎年確定申告が発生します。
(酷い所だと年末調整すらしてくれません)

あとは、個人的に火災・地震保険に加入している方がいました。
私は生命保険に加入していました。

○学校内では、講師に発言権はありません。正規教員に絶対服従といった感じです。
○学校によると思いますが、正規教員からかなり下に見られます。酷い所だとモノ扱いです。
○職員室内でのヒエラルキーは最下層に位置します。

もちろん、親切に対応して頂ける正規教員の方もいらっしゃいます……!

4. 給料ってどうなっているの?

○時給ではなくコマ数で計算されます。
○一般的には1コマ辺り大体2500~3500円くらいが相場かなと。
○財力がある学校は1コマ1万円超えます。
○賞与が出るところもあります。
○基本的にはコマ数分にしか支払われないので、授業以外の業務は支払われません。残業代なし。
○部活動の顧問を担当される場合は別途支給されますが、聞いた話によると雀の涙だそうです。

5. 兼業って当たり前?

○1つの学校で、少ないコマ数の場合は生活出来ないので、学校を掛け持ちされている方が多いです。
私も学校同士の掛け持ちだったり、学習塾と掛け持ち状態でした。
(朝から学校で授業があり、そのまま塾へ出勤なんてことも)

学校以外にも塾、予備校、大学、スポーツクラブなどの講師、教材の執筆活動など様々でした。

学校の非常勤講師が副業という方もいました。
非常勤講師以外の本業で稼ぐことが出来れば、非常勤講師は割りのいい職業だと思います。
時間割が組み辛いということで、学校との兼業をよく思わない正規教員もいます。

6. 転職理由

・上記でかなりお察しですが、転職理由は主に2つ
①雇用の安定、年収アップ
・1年契約なので、次年度も契約継続になるかどうかわかりませんでした。
・派遣法によって同じ学校に最長5年までしかいられなかったので、安定した雇用が欲しかったです。
・いきなり正規雇用してくれる学校は少なく、常勤講師(非正規雇用)からの採用になってしまう。

常勤講師は非正規雇用なのにも関わらず担任を持つことが出来ます。
3年雇用したら法律で正規教員にしなければなりませんが、3年で雇い止めされるケースも珍しくありません。
同僚に同じ手口で雇い止めされた人がいました。
学校業界の一番の闇とも言われています。

②上司の酷い一言とこの業界に対する不信感
・詳細は伏せますが、この一言でボッキリ折れたというのもありました。
・今まで生徒のために、生徒のためにと働き続け理不尽だらけの待遇でも耐えていた私にとって、かなりツラい仕打ちでした。
・非正規教員である限り、どこの学校に行ってもこのような対応を取られ続けるという失望感もありました。

後で知りましたが、この上司の言葉で何人もの講師が辞めさせられたらしいです。
私は転職を理由に退職をしたので、運が良かったのかもしれません。

7. まとめ

 教員の黒い部分ばかり書いてしまいましたが、教員は未来ある子どもたちを育てる夢のある仕事だと思っています。ツラいことも多かったですが、たくさんの生徒と関わり、生徒たちの成長を間近で見ることが出来た充実した4年間でした。
 労働環境さえ良ければ、ずっと教育業界に残っていたと思います。たぶん、私と同じく思っている方は多いのではないでしょうか。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。


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