【3泊4日・18切符とさるびあ丸で行く!伊豆諸島・神津島の旅】3日目・この旅一番の大ピンチで、忘れられない出来事が......
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朝、晴れの神津島
朝、神津島の宿で目を覚ます。外は晴れている。昨日からこの晴れ空ならよかったのに。僕たちは今日、10時半のさるびあ丸で島を発つ予定だ。それまでおよそ3時間、島での最後のひとときだ。
宿のチェックアウトをする。高級旅館のような広い客室も豪華な温泉もなかったが、オーナーは親切だったし、何よりこのアットホームで居心地の良い空間が、自分も島民のひとりになったかのような感覚にさせてくれた。いい宿だったなぁ。
宿の外に出て歩いていくと、そこには紺碧の美しい海が広がっていた。まるでこのあとここを出ていく僕を引き留めるかのような、素晴らしい景色だ。
港行きのバスは……10時20分。まだ少しだけ時間があるな。ということで、海沿いを歩くことにした。
その後、土産を購入し、バス停でもう一度バスの時間を確認する。まだ20分ほど余裕があるはず……
島から出られない……!?
……まずい。勘違いしてた。
確かに、10時20分にバスはある。しかし、これは神津島港行きだった。それに対して、今日船が出る港は多幸湾。
そして、多幸湾行きのバスは9時05分発。とっくの昔に出て行ってしまったのだ。大体、船が10時30分に出るとわかっている時点でバスが10時20分発なんておかしいなと思えよ、という話だが。どうしよう。
とりあえず、Googleマップで徒歩ルートを検索する。多幸湾までは……徒歩4km。しかも峠越えつきだ。今から走っていったところで間に合うはずもない。
……そうだ、タクシーを呼ぼう。神津島村のホームページに載っているタクシー会社の番号に電話をかける。電話は繋がった……が、どの車も出てしまっているとのこと。
これで、10時30分までに多幸湾に向かうルートはすべて絶たれてしまった。どうしようどうしよう。焦っている間にも、出航の時刻がどんどん近づいていく。
一台の軽自動車がこちらに向かって走ってくる。藁にも縋る思いで、2人でその軽自動車に手を挙げる。
目の前で軽自動車が止まる。
「どうしたの?」中のおばあさんが僕たちに話しかける。
事情を説明すると、おばあさんは驚いた表情をして、「早く乗りなさい!」と僕たちを車に乗せてくれた。
東海汽船に電話をかけ、多幸湾に向かっていることを伝える。その間にも、おばあさんの車は島の人しか知らないような小道を飛ばして、多幸湾へと近づいていく。
出航10分ほど前に、車は多幸湾に到着した。
おばあさんにお礼のお金を渡す。
「お礼はいいから、また島に来てな。」おばあさんは言った。
さよなら、美しき島
さるびあ丸が神津島を離れる。
できることなら、もっとこの島に滞在したかったなぁ。
だんだんと小さくなっていく神津島を眺めながら、おばあさんの言葉が僕の頭の中でこだまする。
「お礼はいいから、また島に来てな。」
いつかまたこの島に帰ってこよう。
次来たら、晴れの赤崎遊歩道に行って、透き通った海を眺めて、それから今回登れなかった天上山に登って、島の店でグルメを食べたい。そして、今度こそ満天の星を眺めたい。
「この島に帰ってこよう」
さっきそうは述べたものの、普通に考えたらこの島に「再び行く」の方が正しい。それでも、この時の心情に照らし合わせれば、(僭越ながらも)「帰る」という表現のほうがしっくり来るような、そんな気がした。
そこからおよそ1時間。さるびあ丸は式根島に到着した。
式根島が小さい島だということもあってか、ここでの乗降はほぼなかったと思う。
それからまた船に揺られること1時間。新島に到着した。
新島ではある程度の人数の乗降(主に乗船)があった。新島と船の上で、互いに別れを惜しむ人たち。それを見ているとなぜかこちらも切ない気持ちになってくる。
「元気でなー!」と叫ぶ誰かの声とともに、船は新島をあとにした。
天気は晴れているものの、今日も今日とて風が強い。神津島を出たときから船は激しく揺れている。その揺れで船酔いしたので、客室でしばらく横になることにした。
それからどれほど経ったのだろう。目が覚めると、船の揺れはずいぶん穏やかになっていた。デッキに出てみると、船は大島に到着したところだった。今まで見てきた島に比べ、大島は港にも土産店や民家が多く立ち並んでいる。
揺れが穏やかなうちに船内レストランで昼食を食べた。注文したのは「島海苔ラーメン」。あっさりした塩ラーメンと海苔の香りがよく合う。
大島を出発した後、船酔いの予感がしてふたたび部屋に戻り寝た。
そして起きると、……船はもう夜の東京湾をゆっくり進んでいた。時刻は18時過ぎ。ずいぶん長いこと寝ていたようだ。Kは僕が部屋に戻った後もずっとデッキにいて、船の上から夕焼けを見たらしい。夕焼けかぁ……いいな、見たかったな。アラームでもかけておけばよかった。
19時頃に東京港に到着。行きは12時間以上かかったのに対して、帰りは8時間半で到着した(それでも長かった)。
そのあとは秋葉原の焼肉ライクに行った後、京浜東北線で川崎駅前の東横インへ。焼肉ライクでは学生限定でご飯のおかわりが無料、トッピングが1つ無料で付けられる(僕は韓国海苔をつけた)のでとてもお得だった。
3日目、最後まで読んでくださりありがとうございました。
長かった旅も明日が最終日!しかし猿人がそのまま名古屋に帰るはずもなく……?次回もお楽しみに!
追記: 旅行記4日目公開しました。
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