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人からの評価を手放す時

少年は苦しんでいた。

他人の評価を気にしているからだ。

そこに賢者が現れた。

「ちょいとそこの君」

急に老人から話しかけられ少年は驚いた。

「ぼ、僕ですか?」

「そうそう」

「なんでしょうか?」

「自分の影を気にしたことがあるかい?」

「え?」

自分の影の形を気にしたことがあるかい?と聞いておる」

足元から伸びる少年の影を指さした。

「あ、いえ。ないですけど」

「そうか、それならよかった」

老人は立ち去ろうとした。

「ちょっと、すいません。どういう意味ですか?」

老人は振り向いた。

「答えを教えるのは二流、ヒントを出すのが一流ってもんじゃ」

なんだこの変な老人は。

めんどくさいが、答えが気になった。

「それならヒントをください」

「よろしい。…ごほん。えぇと」

少年は固唾を飲んだ。

「人はそれぞれ別の世界を生きておる」

「はい」

「以上じゃ」

ふざけるな。
どこがヒントなんだ。

再び立ち去ろうとする老人を引き留めながら
「ちょ、余計にわからなくなりました。降参です」
と泣きついた。

「やれやれ、これだからゆとり世代は」

「ぼく、Z世代です」

「…ええか。どんな相手でも、個別に自分の世界を持っておる。
ただし、人は自分の世界からしか物事を捉えられない」

「どういうことですか?」

「つまり、他人の世界から見たら、君が気にしているものは本質ではなく影みたいなものということじゃ

「影だけ見て、君が内に抱えている葛藤はわからないじゃろう?」

少年はギクっとした。

「人は自分の世界からしか物事を捉えられない。

だから、他人の世界から見える自分の影を気にするのは勿体無いということじゃ。

…あ、全部言ってしもうた」

まだまだワシも二流じゃなとつぶやき、老人は姿を消した。










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