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棺桶デスマッチ




ザ・グレート・サスケ

vs

新崎人生

聞いた途端に、行きたい!って、
叫んでいた。

わたしのファンだったときの青春のようなカード!
もうないのではと思っていたカード!

コロナ陽性や、濃厚接触などによる欠場選手が重なり、急遽実現したとのことだった。

新崎人生選手は、
ファン時代のわたしには神のような存在で。

その時代のみちのくプロレスは、
サスケ選手、人生さんだけではなく

ディック東郷選手、デルフィンさん、マスクマン時代のカズハヤシ選手、TAKAみちのく選手など
錚々たるメンバーだった、、、

勢いよく叫んだものの、

5分後には、
やっぱりやること山積みだし、行けないって思った。

その後、電話でお誘いをいただいて。

行きたいな、、、
行けるかな、、、


隠している訳ではないけれど、

この一年ほぼほぼ引きこもっている、、、

記者会見、取材、打ち合わせ、警察、実家、花会、荷物の発送、花に会いに行く、、、

必要最低限しか外出はしていない。
正確にはできていない。

外がこわいし、ひともこわい。

ひとりでの外出は、特に不安が強い。
100倍くらいギアあげていかないといけない。

でも、

行きたいと思った。

行きたいという感情を忘れていたくらい、それは久しぶりの強い気持ちだった。

なんとか気持ちを落ち着かせながら、後楽園ホールに向かった、落ち着くのに時間がかかってしまった、間に合うだろうか、、、

後楽園ホールの中に入ったとき、
ちょうど新崎人生選手のテーマ曲が鳴りだした!

間に合った!
ひとりでこれた!!

チケットを受け取り、一緒に席まで走り

人生選手の入場を最初から見ることができて安堵して、

入場の格好良さにうっとりして、、、


そこで初めて気付いた、、、

あれ?棺桶がある???

嫌だこわい!

なぜリングの上に棺桶が???

一瞬パニックになりながらも、理解した。

、、、
今日は、棺桶デスマッチだったのだ。


ゴングが鳴り、試合が始まったけれど
わたしは棺桶が怖すぎて、どうしたら良いかわからなくなってしまった、、、

どうしよう、、、
トイレに非難する?
試合中に失礼じゃない?

どうしよう、、、

みんな座って集中してみてる、、、
邪魔できない、、、

ああ、でも棺桶こわい、こわい!

棺桶こわい?

こわいのは棺桶?

本当に?

違う、
棺桶を見るのが怖い

それは誰かの死が怖いだけだ

自分が死ぬのは全然怖くないのに
いつ訪れるかわからない誰かの死に
ガタガタと怯えている

そこまで気付いて、ふとリングを見ると
棺桶と棺桶の蓋に人生さんの腕を挟んで、サスケ選手が痛めつけていた、、、

あれ、、、

棺桶って、死んだひとが入るんじゃなかった?あんなふうに使ってたっけ?

混乱していると、

蓋に腕を挟まれた人生さんに、サスケ選手がセントーン、ジャンプして体重を浴びせかけていった、、、

それを人生さんが避けて、サスケさんは棺桶に自爆した、、、

それからも何度も棺桶の上に突っ込んだり、投げようとしたり、投げ返されたりしていて、棺桶の蓋もひしゃげてきた頃には、

すっかり試合に夢中になっていた。

わたしが憧れたプロレスラーが、

憧れた時代の空気のまま、
いま試合をしている、、、

おふたりとも 確か50代、、、

何十年もずっと試合をされてきているので、きっと身体はボロボロになっているはず、、、それでも変わらぬ美しさで空を飛んでいた

息をのんで
目をみはって

無心で 夢中で
10代のわたしになっていた

まだどん底の辛さも悲しみも知らず
無限の可能性を信じれた頃、

プロレスがだいすきで 未来には夢しかみえなかったあの頃、、、

リングの中では、ふたりが闘いを続けている、、、みんな夢中でみている

いちばん最後に人生選手が、サスケ選手をパワーボムで棺桶の中に投げつけて、
蓋を閉めて、3カウント、試合終了。。。

万雷の拍手。。。


もう、棺桶は怖くなかった。

棺桶デスマッチ、、、

生きることも死ぬことも
怖がらなくていいんだよ

感じるままに夢中でいけよって

そんなメッセージを勝手に感じた。

同じ試合でも

観たひとによって、
みんながそれぞれ違うメッセージを受け取ることができる、、、

そんなプロレスがだいすきだったことを、
やっと想いだせた。

もう長いこと、見失っていた気持ち。

辛いときや、
なにかを抱えているときこそ

道を照らしてくれるのが、プロレスで

だから、花はきっと、

みんなのことを明るく照らしたかったんだなあって、すごく感じた。


もっともっとたくさんのひとに、
プロレスが届いてほしいな。

きっと救われるはず。

花の想いでもあり、
わたしの想いでもある。

本当に!

冒険してみて、良かった。

苦痛を恐れて冒険しないより
冒険して苦痛を経験するべきだ

偉大なるザ・シーク様の言葉。



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