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I WANT MORE / CAN

いつかのOFFPRINT(パリのÉcole des Beaux-Artsの中庭で毎年11月に行われるアートブックフェア)で一目惚れで買った、ドイツのいわゆるクラウト・ロックといいますかフリー・ジャズというか、のバンド、CANのディスコグラフィーの中でもとりわけポップでわたしも大好きな名曲"I WANT MORE”のシングル盤を、長年の執着をこじらせ、あちこちの中古屋で買い集めに買い集めあげく律儀に購入の時系列でジャケの接写を並べ延々掲載している、作者名も記載のないインディの写真集?なのですが、なんて退屈なことよ、とおもうなかれ、値札や名前などの落書き、ショップのステッカー、国による印刷の違いや色褪せなどで一枚一枚少しずつ異なるのと、時代を経て中古価格が高騰してる(期間がわからないが少なくとも7.5€から21€まで変化している)のが見えたりする、じっと観ててもなんだか面白いうえに、この曲のラストは”I WANT MORE & MORE & MORE & MORE...”とイカれたバンドのおじさまたちがウィスパーで合唱でリフレインするのですが、まさにもっとほしい!もっとほしい!もっと!と時を駆けて買い溜めてきた作者のクレイジーさが、この単調なエディットによって滲み出てきて触る手から伝わって、しかもなんとそうか、自分がページをめくるたびにこのブックもまた劣化していくのだな!もっと!もっと!(小泉今日子)なるほどですね!と、めくる手もつい荒くなりビリビリくるいつまでも噛んでいたい味のあるサムシングなんです。CANは大好きですが、世代的にもリアルタイムではなく、あれは確か90年代、「モーヴァン」という、たぶんシネマライズとかでやってたっぽい、けどそんなにヒットしなかった、ちょっとダークなスコティッシュ青春映画のとても良いサウンドトラックにこの"I WANT MORE"と"SPOON"がたまたま収録されていて衝撃を受けたのが最初の出会いでした。モーヴァン、誰か覚えてますか?うら若き頃のサマンサ・モートン。ちなみにわたしはサントラは持ってた(ケイト・モスとプライマル・スクリームが、ナンシー・シナトラとリー・ヘイゼルウッドのSome Velvet Morningをカバーしてるやつも収録。それもかっこいい。あれはR.I.P.アンドリュー・ウェザーウォールのプロデュースだったのだっけ)んですが、映画の内容は実はまったく記憶にない。もしかしたら観てないかもしれない。最近は観たか観てないかとか、晩ごはん食べたか食べてないかとか(R.I.P.ケン・シムラ)もあやふやになってきましたし、断捨離だコンマリだとそのくせとってもmessyな世の中ですが、こうやって物証を手元に置いておくのは一興ですし、シンプルに備忘に役立ちますよね。ってサントラも処分して手元にないですけど。わたしはもうこの人生で3段階くらい断捨離を経ておりまして手元に本やCDやDVDがほとんどありません。想い出はいっぱいですけど。人間40過ぎると何をしても何を見ても何を聴いても何かを思い出すので、こないだなんか、眠れない深夜にApple Musicで1時間のホワイトノイズみつけて聴いてました。ザーーーーーッというやつ。なにも思い出したくないから。深夜って思い出すじゃないですか、いろいろ。

いやー、音楽と本と映画と、あれやこれや、愛や恋や、ほんとにすばらしいですよね。それでは聴いてください、CANで"I WANT MORE"。おやすみなさい、お相手はきむらでした。

キーボードのイルミンはいつ見てもかっこいいジャンパー着てるなあ。


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