目の見えない方に社交ダンス衣装をお買上いただいたお話
お衣装ライターきむらです！
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さて今回は、社交ダンスドレスJJでの接客話です。
弊社ではヨーロッパ製一点物の社交ダンスドレスを扱っています。
ヨーロッパ製、と強調しているのは、社交ダンスの本場だから。
本場にあるアトリエがドレスを作成し売る、それを弊社は輸入しています。日本含め諸外国のドレス屋はそれらを参考にしてオリジナルドレスを作成したり、オーダードレスを手掛けたりしているのです。
そんな弊社ドレス店舗では多くはありませんが目の見えないお客様がいらっしゃることがあります。本日はそんなときのお話を。
私は介護の勉強などしておりませんので、なにか「もっとこうした方が良いんだよ！」とのアドバイスやご指摘がありましたら遠慮なくお伝えくださいませ。
ちなみに社交ダンスは目の見えない方や車いすの方も楽しんでいるのです！なぜならペアダンスだから！
先生と手を取り合って踊るので安心です。
もちろん競技もあるのですよ！
介護の方と共にご来店。
お客様「ごめんね～、私目が全く見えないのよ。でもダンスが大好きなの！」と。
お客様「ちょっと華やかな練習着、簡単なパーティにも着るものが欲しいんだけど・・・。この方（介護の方）は社交ダンスが分からないから一緒に選んでくれる？」
そりゃあそうだよな～と。
たまたま社交ダンスをなさっている方でない限り分からないですよね。
【ちょっと華やかな練習着、簡単なパーティにも着るもの】このご依頼はよくあるのですが、おすすめはセットアップ！
上下同じ柄やデティールが使われており、合わせて着るとワンピースのように見え華やかに。トップスをお手持ちの他スカートに合わせても良し。スカートをお手持ちの他トップスに合わせても良し。と使い勝手の良いアイテムです。
それをお伝えしたらご納得いただきセットアップのコーナーへ。
まずお色は黒が良いか、黒以外が良いか。
社交ダンスウェアは黒が多いのです。
なぜなら一番抵抗なく、安心して着ることの出来る方が多く、手持ちの洋服とも合わせやすい。そしてやはりお体が最も細く見える！
お客様「黒で使いやすいけれど、ちょっと華やかに見えるものが良いわね～！」
とのことで。黒地に柄の入ったセットアップをご提案。
きむら「これは全体が黒で胸元が少しだけ広めに横に開いております。鎖骨が美しく見えるようなデザインで、お胸の谷間が出ちゃう、なんてほどではありません。お袖は透ける生地で五分袖。襟からお胸下位置まで透け感のあるプリーツ地がひらり、と上に被さっています。・・・触ってみていただけますか？」
お客様「あ～！こういう素材ね！分かったわ！踊るとここが揺れるのね！」
きむら「はい！そしてそれが肩部分に少しかかるようなデザインですので、組んで両腕が上に挙がると、腕とお体の間部分にこの生地が垂れていて美しいんですよ！」
お客様「なるほどね～！」
介護の方「なるほど・・・！」
きむら「そしてこのプリーツ部分、左半分ほどに、白地で格子柄が描かれているので、真っ黒ではなく華やかさもあるんです！」
お客様「良いわね！」
きむら「首後で紐を結ぶようになっておりますので、若干の開き具合は調整可能です。一度決めて結んでしまえば毎度結び直す必要はありません。その紐の下の部分は少しだけ開いて肌が露出するデザインですが、所謂ブラジャー型のお下着であれば見えてしまう心配はないかと思いますよ。ここです、触れますか？」
お客様「ここが紐で、あ、ここがこんな形で開いているのね！」（開き部分を指でなぞり、そのシルエットを確認なさる。）
きむら「スカートもお揃いに出来ます！ちょっと触ってみてもらえますか？この位置までフィットして、ここからトップスと同じ素材のプリーツ地が使われています。」
お客様「綺麗に見えそうね！」
きむら「はい！プリーツは踊ると美しく優雅に広がる印象があります。そして縦のラインを作ってくれるのでお体もすっきりと見えますよ。」
きむら「そしてスカート裾にはボーニングと呼ばれる芯資材が使われているので、少し外側にスカートが広がるシルエットになっているのと、より揺れ動くようになっています。この部分ですね、触れますか？」
お客様「あ～、この資材ね、うんうん分かるわよ！」
きむら「この形はお色違いや柄違いも多く展開しているのですが。お色が黒ご希望とのことで・・・」
お客様「なにか他におすすめはある？」
きむら「今ご紹介していたのが黒地に白の格子柄だったのですが。もう少し華やかなデザインですと、黒地に青と白の小花柄もございます。」
介護の方「あら～こちらの方が〇〇さん好きそうよ！お洋服もいつもお色物でお洒落ですもの！」
お客様「そう？！じゃあそちらを試着させてもらおうかしら？」
介護の方に付き添われ、店内奥の試着室へご移動。
まずお二人で入り、お着換えをはじめようとしていたけれど・・・。
きむら「私もお手伝い出来ますのでお声がけくださいね！」
介護の方「・・・普通のお洋服ではなくひらひらした薄い素材でちょっとこわいので。手伝ってもらっても良いですか？」
・・・そうですよね！
ドレスではないにしろ、やはりちょっと違いますもんね！
きむら「もちろんです！」
きむら「ではまずここに腕を通して頂いて・・・。ここに頭を・・・。」
とお着換えをお手伝い。
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余談ですが私たちはお着換えを手伝うことは本当によくあるので、緊張なさらずにお声がけいただければと思っております。
背中のファスナーはご自身で上げられないものがほとんどです。
またファスナーのないかぶりのロングワンピースはよくスカート部分を下まで引き下ろすお手伝いをいたします。布が多いので大変なんですよね！
胸パッドからお胸がずれていたら手を差し込むこともありますし。
レオタードの股スナップが留められなかったら、そこももちろんお手伝いしますよ。
慣れておりますのでご安心ください！笑
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きむら「はい、これでOKです！この場所だとスカートの揺れ感なども分かりづらいかと思いますし、よろしければ広いところまで出てこられますか？」
お客様が試着室から出て少しご移動。
大きな鏡のあるスペースですので、目の見える方はそこで確認いただくのですが。
きむら「ちょっとここで先生と組むように、腕を挙げてみていただけますか？はい！そのときのここ、触れますか？先程申し上げたように、この位置にプリーツ地が垂れているのでここがひらひら～っとなるんです！」
お客様「そうね！ここに生地があると綺麗に見えるわよね！」
きむら「ちょっとスカートを揺らしたり、動けますか？」
お客様「あら～、揺れているわね～！しっかり揺れているのが感じられるけど重たくないからしんどくならないわ！」
と、触ったり、実際に動いたときの布の揺れ感を体感して頂きました。
介護の方「良いですね～、華やかですね～！〇〇さん良いわよ！素敵！」
お客様「これは自分でもお洋服が動いているのが分かって嬉しいし、お姉さんの説明でデザインも華やかなのが分かったし、私好みだわ！」
と、お喜びいただきお買上げ。
お帰りのとき、
お客様「丁寧に対応してくれてありがとうね。自分では見えないから想像するしかなくて。これ（買った物）は本当にお気に入りよ！」
とお伝えくださいました。
やはり全てのデザインを自分の言葉で説明するので難しくはありますが。きちんと伝わり、着てお喜びいただけると、やはり嬉しいですね。
どんな方でも”華やかに装うこと”を楽しむのは素敵なこと！
少しでもお手伝いが出来れば嬉しいなと思っています。
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お衣装ライターきむら
社交ダンスドレスJJ
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