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【ワイルドサイドをほっつき歩け ーハマータウンのおっさんたち】ブーマー対ミレニアル、その時82年生まれは・・・

先日、オンライン英会話でフィリピン人講師とミレニアル世代の話題になりました。

私も講師もミレニアル世代。

お互いの国でミレニアル世代はどういう特徴があるか、他の世代からどう見られているか、などについて話しましたが、大体どこも同じだね〜と言うざっくりとした感想の中に、互いの国特有の細かい違いがあったりして、なかなか面白かったです。

ミレニアル世代は世界的には、1980年〜2000年に生まれた世代のことを指すことが多いようです。

  • ミレニアル世代の世界的な特徴は、

    ・デジタル=ネイティブで情報リテラシーが高い
    ・テロや不況の時期に育った事で、物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを 求める
    ・ポリティカル・コレクトネスに敏感

などなど。

日本のミレニアル世代の中で、後半の半分以上は「ゆとり世代」に属するので、(1987年生まれ以降)ミレニアル世代≒ゆとり世代とする向きもあります。

ちなみに、フィリピンではミレニアル世代は、

fickle minded = 風見鶏(コロコロ言ってることが変わる人)

と上の世代からはよく揶揄されるとのことです。

一方、日本の「ゆとり世代」も、無気力、打たれ弱い、失敗を恐れる、空気を読んでばかりなど、否定的な見られ方をすることが多いように思います。

特にゆとり世代はリーマンショック後くらいまで続いた就職氷河期の後に就職活動期を迎え、売り手市場の中で就職できたことから、就職氷河期を経験した一つ上の世代、「ロスジェネ」世代からは疎まれがちです・・・。

と言うわけで日本では、「ロスジェネ」世代 VS 「ゆとり世代」の世代間対立がわかりやすいように思いますが、このような世代間対立は微妙に年代や対立軸を変えて、どの国にもあるようです。


そのことを面白おかしく、しかしリアルに伝えてくれるのがブレイディみかこさんの『ワイルドサイドをほっつき歩け ーーハマータウンのおっさんたち』です。


この本でブレイディさんは、彼女が住むイギリスのブライトンを舞台に、彼女の夫と主にその友人のおっさん達、ベビーブーマー世代の末路と悲哀、特にポリコレに敏感で新自由主義的社会に適応している若い世代から、粗大ゴミのように汚いものを見る目で見られつつ、おっさんなりの筋の通し方や意地で、地べたを生きる彼らの生き様を、優しく見守っています。

最終章はブライトンが生んだスーパースターDJ、Fatboyslimの名曲、
『Praise you』をタイトルに拝借しています。

私はこれらのおっさんの代表としてまさに、EDMの波に押され、一時期の全盛期は静かに終わりを告げて、今は人生の黄昏時を迎えているであろう、ノーマン・クックその人を思い浮かべました。


ところでこの本の第2章には英国の世代間対立事情が詳細に書かれていていました。

それによると英国ではとにかくベビーブーマー世代が、
EU離脱の賛成票を投じた主たる層、強欲で得ばかりしてきた世代、
などと子供世代であるミレニアル世代から突き上げられ、
それが今回のEU離脱選挙で一層深刻な分断を生み出したと言うのです。

ブレイディさんはこれを日本に置き換えると、
全共闘世代 VS ロスジェネ世代に近いかも、と書いてます。

戦後の経済発展の恩恵を受け、豊かだった時代の社会や文化を謳歌した親世代と、生まれた時から不況続きで、戦争やテロなど、戦後社会の行き詰まりの閉塞感の中で育ってきた子供世代。

微妙に年代はずれてますが、日本も英国も(そして他の国も多かれ少なかれ)、
同じ問題があるのだなと思いました。

しかし英国の場合はEU離脱の投票によって問題が顕在化し、
断絶は一層深まっていて切羽詰まった状況になっています。

EU離脱票を投じた割合が最も高かったベビーブーマー世代を、
「裏切り者」「自分たちはブレクジットのダメージを見る前に死ぬくせに」
などと責め、ベビーブーマー世代は若者世代を、
「君たちは何がこの国にとって本当に良いことなのか分かってない」
などと譲らず、国を挙げての壮大な親子喧嘩状態。

そんな終わりの見えない果てしない世代間の争いの中で、ブレイディさんが何か役割を果たせるかもしれない、と期待しているのが間に挟まれた世代、
ジェネレーションXです。

彼らは二ヒリスティックで冷めている、と言われがちだけど、実際に今の社会、
企業でも地域でも家庭でも、実務の中心となっている世代です。

ベビーブーマー世代は過去に生きすぎて、未来を台無しにしようとしているし、
ミレニアル世代は未来を怖がりすぎて、過去を見ていない。
ジェネレーションX世代は過去に何があったか知ってるし、
時代の変遷をある程度見てきたものとして、
未来は作り変えることができると言うことを認識している。


言わば、「谷間の世代」だったジェネレーションXの存在が、世代間対立の解決のための、鍵になるかもしれません。


そういえば私は1982年生まれ、ぎりぎりミレニアル世代の先頭ということもできるけど、ジェネレーションXの最後尾でもあるらしいです。

どうりで、どちらの世代の特徴や価値観も、しっくりこないわけだ・・・。

しかし、「谷間の世代」のさらに谷間に生きる私は、どちらの世代にも共感するところがあります。

そうやってお互いの世代の良いところを取り入れながら、両者の融和を図るのが、谷間世代の役割といったところでしょうか。

なんか調子いいやつみたいですね。

あ、だからfickle mindedって言われるのかな・・・。

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