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自己紹介と公衆よくじょうと木村さん。

 初めまして、木村です。
 地方でOLをしています。
 絶世の美女でもなければ周りが色めき立つようなイケメンでもありませんが、とにもかくにも女好きです。
 特筆すべきことはこれくらい。

 思ったことを書きます。良ければお付き合いください。



 銭湯が好きだ。
 何故か。
 アパートの部屋がドラえもんの寝床レベルで狭いのである。洗い場の話ではない、湯船も含めてだ。洗い場に至っては肩幅に毛が生えた程度。身体は勿論座って洗えない。おまけに給湯器が異様に古く、一定時間お湯が出たら罰とばかりに水責めを喰らう。勿論冬場でも。いつだって浴室のドアは開けっぱなしで、水責めの気配がした瞬間さっとタオルにくるまって震えながら湯の気配を待つ。
 大家さんに言えばいいのだろうが、なにぶん部屋が汚くてそれもままならない。
 故に私は、銭湯が好きだ。
 さて冒頭で女好きだと書いた。
 誤解なきように予め言っておきたいが、私は女性を性的に見ている。そりゃもうしっかり性的に見ている。
 愛した人しか性的に見ないタイプではない。モテないのでストライクゾーンは広いし年齢の幅も割と広い。なんなら上は15歳上まで許容範囲だ。
 ここまで読んで不快に思った方は当然いらっしゃるだろう、けれどこと公衆浴場においてスケベな自分は引っ込んでしまう。
 それは何故か。私はゆっくり足を伸ばして湯船にじっと浸かって考えていた。
 その銭湯というのは、最近流行りのサウナが充実していてバラ風呂があったりふわふわのタオルが何枚も使い放題といったお洒落なスーパー銭湯とは違うことを先に記しておきたい。
 地方といえどそういった場所はある。まさにアパートのすぐ近くにある。だがしかしアパートは職場のすぐ近くでもあるので同僚や上司と鉢合わす可能性がある。現に子供と利用しているという話も耳にする。男性社員とうっかり出会うのは何ら問題ない。つまり、すっぴんを見られるのが恥ずかしいわけではない。
 同僚をスケベな目で見ているか。
 答えは、人によるがYesと言わざるを得ない。
 やはりと、警戒した方待って頂きたい。

 私が思うに、性的興奮はサプライズと羞恥心にあるのだ。

 予期せぬ出来事、そして恥じらい。
 自室の浴室に突然、綺麗なおねえたまが妖艶に微笑み隣へ腰掛けそっと手を這わせようなら私のスケベ心は爆発する。(あくまで仮定の話であり、先ほど説明したように我が部屋の浴室では不可能であるが)
 そして下心のある同僚への出会いを避けるのは、普段の着衣姿を知っていることへの申し訳なさだ。(すらりとスカートから覗くタイツを纏ったおみ足が無防備に晒されるのを、ブラウスの下に慎ましやかに存在を確認できる膨らみの真実を、目の当たりにしたくないかと言われれば嘘になるが興奮するのかどうかは対峙してみないと判断できない。)
 だが、女の裸があるという当たり前、互いが裸であるという常識がスケベ心をパッとなくしてしまう。
 きっと男性もそうではないだろうか。
 互いを知らぬ男と女が裸で湯に浸かる。
 魅力的に聞こえるのはそれが特別で恥じらいの香りがするからではないか。
 ここまで思考したところで、じわじわと滲む汗を感じておもむろに湯から出る。
 私の通う件の銭湯は、シャワーは壁に固定されており、石鹸類は持ち込み。タオルも自前であり桶は例の黄色いヤツだ。その桶に湯を入れる。手のひらで少し固めの赤いボタンを押せば桶一杯分の湯が溜まる。牛乳石鹸を僅かばかり泡立だせ顔中に広げ、両手いっぱいに桶の湯を掬い顔を洗う。
 子供の頃から顔を洗うと必ず溺れる。鼻の孔いっぱいに湯を流し込んでしまう。鼻の奥がツンと痛むので思い切り鼻を鳴らせば決まって鼻ちょうちんができる。その間抜けな顔に鏡越しの子供が噴いていた。

 ドラマや漫画に出てくる絶世の美女や周りが色めき立つようなイケメンでもない。
 お調子者で間抜けな普通の地方のOLで、考えていることも酷くしょうもない。
 そんな女好きの女もいる。
 どこにでもいる普通の人であることをお伝えしたい。

 thank you for reading.

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