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そして2つ目の店

 美容師免許取得後、好待遇に惹かれて、鎌倉大船にある美容室に勤めることにしました。それまでは月12万程で休みなく働いていたので、免許取得を機にステップアップを図ったんです。


 大船はこの辺りでは少し大きな駅ですが下町って感じです。

東海道線、横須賀線、湘南モノレールなどが利用出来ます。東京方面からはここから、鎌倉・横須賀方面と湘南・小田原方面、さらに江ノ島方面へと分かれます。

神奈川県の観光地はどこへもアクセスが良いためか大船駅はいつも人で賑やかです。


 そんな大船にある美容室ですので、以前バイトしていたお店とは少し違います。お客様の数ももちろんですが、スタッフの数が多い。

僕がいた頃のスタッフの数は10人。僕は認められようと頑張った成果か、トップの売り上げを取ることもできました。月の売り上げは100万円~130万程、手取りの給料は27万円くらいでした。


 その金額の差も特に不満ではありませんでした。その頃は「20万後半もあれば好きに暮らしていけるし、人生はお金だけが全てじゃないから」なんて考えてたんです。

一緒に働く仲間がいるというのも心地のいいものです。スタイリストになったばかりで僕もヘアカットに燃えていましたし、よく話し合ったりお互い研鑽していました。東京の様々な有名店でカットしてもらいに行き、色々と勉強をしていました。


そんな自分を
大阪で有名なサロンに来ないかとお誘いを頂き、何度か大阪に足を運びました。美容業界紙にも多く掲載されるオーナーさんがいてとても魅力的なサロンではありました。 


しかし、どーしても大阪のあのノリについていけないのです、、
僕は面白人間ではないので、大阪弁のあのテンポで話し、オチまで考える偉業を出来るイメージが全く湧きませんでした。
こりゃ大阪に住んだら引きこもりになるなって本気で考えてしまったくらいです。

そんなこんなで大阪行きも諦め


 勤め始めて3年目、オーナーに言われたんです。

「支店を出すから店長をやらないか?」

正直認められることは嬉しかった。でもその頃だんだんと「このままでいいのかな?」という気持ちが芽生えてきたんです。

皆んなで働くのが楽しい反面、ただの仲良しグループのようになっていくことに違和感を感じていました。

毎日毎日同じ人と長い時間を過ごすので、話題が似ていきたり、店の中で小さな流行りがあったり、気付けば笑いのツボまで一緒になっていて、本当なら心地のいいはずのそんなことも、少し気持ちが悪くなってきてしまいました。

働くってことは、サッカーとは違う。それはわかっていても、馴れ合いの中からではベストなプレーは生まれないという感覚がどうしても拭えなかったんでしょうか、変な感じですが。


 そんな時、新しいスタッフがお店に加わりました。前にも書きましたが、都心ではない美容室では、人手はとても大切なものです。

オーナーは新しいスタッフにもわりと良い条件を提示していました。気付けばその人と僕の給料にはほとんど差がなかったんです。


 誰よりも頑張っているという自負もありましたし、これってちゃんと評価されていることになるのだろうかと、不満を感じました。いい仕事のためには正当な評価がないとおかしい。


 オーナーと話しましたが取り合ってはくれません。


これまで頑張ってきたし、店長やるのに同じ給料って??

僕はお店を辞めることにしました。


「この様な事をやっていると良い人材は残りませんよ!」
後に残るスタッフの為にも強く訴えたのを覚えています。


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