<連載小説>昨日のような、明日を生きよう<6>
プクプクからサクサクに
寝返りしだしてからの綾はみるみる痩せていった。
あ、虐待ではないです。
今までは食べて寝る、泣く、なんか動いてる、だけだったのが、全身を動かし始めてから目に見えてスリムになってきた。
筋肉質、というほど筋肉があるわけではないけれど、何となく力がついて消費カロリーが増えたんだろうなぁ、という想像がついた。
かく言う僕も筋トレは欠かせないのだが、年追うごとに脂肪が付きやすくなっている気がする三十歳です。
スリムになって余計に動きやすくなったらしく、我が家の寝返りローリングサンダーは今日もあちこち転がっていく。
夜泣きで寝れないときも大変だったけど、寝ている間や大人しくしている間は多少目が離せてた。
今はいっとき目を離してしまうとどこに行ったか分からなくなる。非常に困った。
ということでベビーサークルというものを買ってきました。
これは良かった。少し可哀想な気がしないではないけど、行動範囲が制限できるので、僕がいない間の食事の用意の時などに使用している。
さすがに四六時中は使わないよ。
そして、綾自身もこの新しいおもちゃを使って何ができるかを考えているようだ。しきりに色んなところを触ったり、舐めたり、掴んでいたりする。
これはこれで楽しそうなので、良い。
つかまり立ちの練習になるかもしれないし。
「我が家のアスリートは今日も元気ですなぁ」
コロコロ転がっている綾を見て、宮子が笑っていた。
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