コロナ禍のプチ旅行1
どこかに行くのが大好きなのに、コロナ禍でどこにも行けない、というか行きづらい。
外出好き人間にとって、移動を制限されるのがこれほど辛いとは思わなかった。
県外ナンバーの車が石を投げられたとか、汚染都市東京って目で見られるとか、事実か都市伝説かもわからない情報にビクビクしているのがアホらしくなったのもある。
というわけで急きょ思い立ち、1泊で群馬に行ってきた。
その記録を何回かに分けて記事にしようと思う。
最終目的地は高崎市美術館、見たい展覧会がある。
館林美術館を中継地とすることだけ決めて、一泊分の荷物とカメラを積み込み車で出発した。
高速に乗って比較的早くサービスエリアに立ち寄り、ビジネスホテルだけ予約する。
何年か前に車で一人名古屋に行ったとき、泊るところがなくてスーパー銭湯で仮眠する羽目になった。
酷暑andコロナ禍のいま、残念ながらそんな無謀なことをするほど若くはない。
スマフォひとつでホテルの予約までできちゃうなんて、なんて便利な時代だろう。
スマフォが無くなっても生きていけるとは思うけど、あったほうが断然QOLは上がる。
高速のSAも進化を続け、きれいだし食事もおいしい。売店で500mlの水を買ったら、おまけに2Lの水がついてきた。どこまでいくのだ、サービスエリア。
さて最初の目的地、館林へ。
館林ってあれでしょ、どうせ暑いなら日本一がいいって言っちゃうロックな街でしょ。っていう雑な知識のみ携え東北道を走る。
着いた。群馬県立館林美術館。
館林美術館、とにかく綺麗。
弓なりの長いガラス張りの廊下に沿って、レストラン、ショップ、展示室が造られている。
コレクションルームは広くないけれど、近代フランス彫刻家、フランソワ・ポンポンの作品が見られる。裏庭にポンポンのアトリエを再現した建物があった。
企画展示室では安野光雅展が開催されていた。
「安野光雅」の名前にピンとこなくても、「旅の絵本」と聞いたらほとんどの人があっ!と思うのではないだろうか。
旅の絵本の原画は、絵本でみるよりも柔らかく繊細だった。世界中を旅してスケッチするなんて夢のような仕事だ。
原画以外では、日本の原風景や草花などのスケッチ、水彩画が多数展示され、ほぼ全てに作家のコメントが添えられていて、それを読むのが楽しかった。
なかでも長野県恵那山のスケッチ「恵那山」に寄せられた文章が面白い。
外国で夜さみしくなると、誰もいないなか大声で歌う。日本でカラオケは絶対にやらない。一度だけリクエストされNHKラジオの番組内で歌うことになったが、音程が外れてしまった。よりによってそれを永六輔に聞かれてしまった。今でもそれを思い出すと死にたくなる。(←だいたいこんな感じ)
恵那山ぜんぜん関係ねーし!
安野さんほどの作家でも、思い出して死にたくなることがあるのだなあと、楽しくも辛いエピソードだ。
安野さんは90歳を超えている。何歳の時に書いた文章かわからないけど、いくつになっても過去の記憶で死にたくなるって聞くと、自分に置き換えても死にたくなる。
そのほか、切り絵本の原画が秀逸。とても見応えがある展覧会だった。
館林美術館、残念ながら展示のほとんどが撮影できなかった。
「恵那山」のキャプションだけ撮らせてもらえないかお願いしたが、これもだめだった(丁寧にご対応いただいた)。えんぴつだけお借りし、メモ書きした。
常設コレクションルームはもしかしたら撮影できる箇所もあったのかもしれないが、ポンポンの再現アトリエも撮影不可だったので、あきらめてのんびり鑑賞することにした。
撮影可否を気にしながら展示を見るのも味気ないし、撮影しないと決めてしまえば、それはそれでゆっくり見られる。
閉館間際のレストランで庭を眺めながらコーヒーを飲んだ。
こんな素敵な美術館が県立だなんて、群馬県...おそろしい子....!!!
群馬県館林美術館のWEBサイト
http://www.gmat.pref.gunma.jp
館林をあとにし、前橋に向かう。
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