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ギャラリーは本当に敷居が高いのか

「クリムトっていう人の作品を写真でみたんだけど、何を感じれば良いのかさっぱりわからなかったんですよね」
普段アートに縁遠いと思われる知人からこう言われた瞬間、ファイッ!と脳内ゴングが鳴り響いた私は小中高の美術教育について暑苦しく語ってしまい、ヒートアップする私と反比例するようにその場には氷河期が訪れたのであった。いや、ほんと、ごめん。

さて、たまに目にする意見として「ギャラリーは敷居が高い」というものがある。ほとんどの美術関係者は「んなこたない」と思っているはずだが、これについて少し考えてみた。

多くの人のファースト・ギャラリーは知人の参加する展覧会だったり、好きな作家の個展だったりするはずだ。そんなときのドキドキは初めての美容室と同じ種類のドキドキで、行ってみたらあんがい居心地がよかったりすると思う。
問題はギャラリーに何度か行ったことのある人が「敷居が高い=入りづらい」と感じた場合だ。首都圏全てのギャラリーを回って「全部入りづらかったわー」と感じたのなら本物の勇者だし、2,3ヶ所おとずれてそう感じたのならどこに行ったのかが非常に気になる。

日本には現在、小規模経営による街のギャラリーから百貨店の美術画廊、作家のブランディングをするコマーシャルギャラリーや企業メセナとして運営されるギャラリーなど、大小さまざまなギャラリーがある。
さらにそこに、現存作家(生きてる人)・物故作家(死んじゃった人)、国内作家・国外作家、前衛系・保守系、レンタル・企画、などの多種多様なスパイスを加えて出来上がるのが、個々の展覧会とそれを企画するギャラリストやギャラリーだ。

このように実際はかなりたくさんの運営形態があるのだが、近現代における美術館やギャラリーはホワイトキューブが多いこともあり、看板や外観からはそれぞれの違いが分かりづらくもあるだろう。

出向いた展覧会によっては、鑑賞者の知性や教養を試されているような居心地の悪さを感じる、という人もいるかもしれない。
ひとは未知のものを見たとき、何かを感じなければならない錯覚に陥る。せっかくきたのだから労力に見合った心理的対価を得て帰りたい、でも何を感じればいいのかわからない、そういった出口のない思考の迷路が生まれるのではないだろうか。
はるばるアウトレットモールまで来たのに何も買って帰らない虚しさのごとくだ。

でも安心してほしい。業界関係者だってそれぞれ好みや住み分けがなされていて、お互い交わることのない作品群やギャラリーがある。
私も行ったことのないギャラリーがまだまだたくさんあるし、物故をあつかう格式高い老舗画廊はいまだにちょっと緊張する。

アートに興味はあるけど敷居が高くて行きづらいと思っている方は、是非一度、街のギャラリー、百貨店ギャラリー、ビッグギャラリーといったタイプの異なる3〜4ヶ所の展覧会を見て回ってほしい。たいてい入場は無料で、財布が許せば作品を買うこともできる。きっと居心地の良い好きなスタイルのギャラリーが見つかるはずだ。
ただ、ユニバーサルデザインではない古いビルにあるギャラリーは、物理的に敷居が高かったりする。出入りが不安な方には百貨店や現代美術のビッグギャラリーがお薦めだ。たいていスロープやエレベーターがあるのでベビーカーや車いすでもストレス減で楽しめると思う。

そして、お気に入りの作品や作家をぜひ見つけてもらいたい。その作家の動向をチェックしギャラリーに足を運んでもらえるようになったなら、とても嬉しい。

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アート大阪2019、みうらじろうギャラリーのブースより小品5点を出品します。
全国からたくさんのギャラリーが出展するアートフェアです。入場料がかかりますが、ギャラリー初心者の方でも楽しめるイベントなので、ぜひお越しください。

ART OSAKA 2019
https://www.artosaka.jp/jp/
開催日程
2019年7月5日(金)〜7日(日)
プレビュー
2019年7月5日(金) 14:00 – 20:00 ※招待客・プレス関係者のみ
一般公開
2019年7月6日(土) 11:00-20:00
2019年7月7日(日) 11:00-19:00
※ご入場はフェア終了の1時間前まで
フェア会場
ホテルグランヴィア大阪 26階 (ワンフロア貸切り)
〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田3-1-1
T. 06-6344-1235(代表)
出展ギャラリー数
54
入場料 ¥1,800/1 Day Pass
※小学生以下は無料。但し必ず保護者同伴下さい。
※チケットは当日、ホテル26階のフェア受付にてお買い求め下さい。



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