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種を蒔く人

 夢って、案外たいがい叶うと思っています。お金で買える夢なんてのはいくらでもあるし、自分さえがんばって行動すればできることだってたくさんある。やるか、やらないか、なんだよね。

 小さい頃、ようやくひらがなが書けるようになってきた私は、七夕の短冊に「ふうせんがほしい」と書きました。お父さんが、近所の山から取ってきた笹に付けて玄関に立てかけてくれました。七夕の日、訪ねに来た保険屋さんのおばさんが私が書いた短冊を見て「あらぁ、おばちゃん風船持ってるから、あなたにあげるわ〜」と言って、口で膨らますタイプのいろんな色の風船をくれました。
 本当は、みかん色の浮いてる風船が欲しかったのだけど、でも、ゆめってかなうんだ、初めての体験でした。

 自分だけでは叶えられない夢もいくらでもある。お金があればOKっていうんじゃないこともある。一緒に実現実行してくれる仲間が必要なことがほとんどじゃないかなぁ。
 どうやって仲間を集めるのかって、自分の夢をできるだけたくさんの誰かに話すんだ。中には悪巧みをしているヤツもいる、でもだいたいそういうヤツらはめんどうくさいことを言うからムリにお付き合いなんかしなくていいと思う、自分の夢の妨げになるようなお付き合いはしなくていい。好きなひとたちや、信頼できるひとたちとの関係を深めていくうちに、誰かが手をあげてくれることがあるんだよ。「わたし、協力できます」って。
 あの七夕の日に風船をくれたおばさんにタイなひとが現れるんだ。

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 夢の種を蒔いています。いろんな種類のものを蒔いています。どの種が発芽して、育っていくかはわからないけど、たくさん蒔けば、どれかは育つ。だから、夢はたくさんあったほうがいい。
 落胆、挫折、絶望、不信とか、そういうことがあっても乗り越えればいい。むしろ苦労がない方がつまらない。苦労をしているということは、成長している証だから。

 先日、サフラン農家でもやろうか、っていう種に水をかけてくれたひとがいました。芽、出るかなぁ。

 サフランって、食べものにすっごいいい香りを付けてくれて、美しい黄色に染めてもくれるから大好き、だけど、すっごい高価なんです。日本では0.5gで500円位が相場。地中海付近でサフラン栽培をしている地域ではもう少しお安いかもしれない、調べた中ではイタリアで1gあたり6ユーロが最安でした。不思議なくらい安いものは、ターメリックで色付けしたような嘘モノだとか。
 どこの国に行っても同じくらいの価格なんだったら、自分で栽培すればいいんじゃないの?っていう発想から、夢ができました。

 じゃあさ、サフランを使った料理を出すお店も出そう、作ったサフランは高級洋食店とかに売りに行こう、お金を生めたら土地を広げて他のものも作ろう、仲間もいる。さあ何からやろうか、どんな種を蒔こうか。

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 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「種をまく人」といえばフランスの画家・ミレーさん。ジグソーパズルが世の中にたくさんある頃、お母さんがミレーさんの「落穂拾い」の1000ピースパズルを何ヶ月もやっていたのを思い出しました。ピカソさんや村上隆さんのようなカラフルでインパクトのある作品も好きですが、ミレーさんや向井潤吉さんのような農の原風景や人間の営みを描いた作品も好きです。

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