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子宮で恋をしたことがあるか。4〜新しい出会い編〜

第4章。

第1章。https://note.mu/kimonoeru/n/nc39b9f296e1c?magazine_key=m8cc2be20cb2e
第2章。
https://note.mu/kimonoeru/n/n8321ba43b384
第3章。
https://note.mu/kimonoeru/n/n6ac585a86f4b?magazine_key=m8cc2be20cb2e


「もう泊まりにはこない。」

そう告げられて2ヶ月。

私は、やっと新しい恋をしたいと思えるようになっていた。

好きじゃなくなったわけじゃない。

ただ、私もパートナーを見つけて、見せつけてやりたかった。

あなたのためだけに待ってたりはしない、と。

どちらかというと、自分に言い聞かせたかったのかもしれない。


ある時。

たまたま、参加した宿泊型のインターンシップで気になる人がいた。

全てを包み込んでくれそうな穏やかで優しい笑顔の人だった。

この人となら、暖かい日々を過ごせるんじゃないかと思った。

それでもまだ不安だった私は、慎重に慎重に関係を進めた。


何度かデートして、何ヶ月かの月日がたったある日、私は悩んでいた。

このまま、優しいこの人のところに飛び込んでいいものか。

その時でもまだ、彼から連絡が来ると嬉しかったし、それを心待ちにしている自分もいた。

このままずるずると優しいこの人と会い続けてていいのか。

私は、そしてこの人は、恋人という関係になりたいと思っているのか。

もやもやと考えていたある日。


私はお気に入りのカフェに閉店までいて本を読んでいた。

帰ろうと立ち上がった時、隣の席にはなんと彼がいた。

久しぶりに会ったその時、

「あぁ、やっぱりこの人だ」

そんな心の声が聞こえた。

なんでこんなタイミングで会ってしまうんだろう。

なんで今なの。

そんな気持ちもありながら、やっぱり嬉しかった。

そしてそのまま少し、公園で座って話した。

声も、匂いも、話し方も、懐かしいあの時のままで。

隣に座った彼は、私の髪に顔をうずめて匂いを嗅いだ。

「懐かしいね」

って。

私は半分くらい、泣きそうだった。

そしてもう半分は、

「だから言ったじゃん。ほら、この人だよ!」

そう伝えてくる体に戸惑っていた。

子宮が疼く。

この表現が正しいのかはわからないけど、本能みたいなものが反応していた。

やっぱり、そうなんだ。

私は、自分で思っているよりもずーっと心を奪われていた。

そうやって1人悶える私を見て、

「まだ俺のこと好きなんやろ」

彼はそう言った。

「そうかもしれないね」

口から勝手に言葉がでてきた。

「ちょっと、可愛くなった?」

そう言った彼に私は怒った顔をした。

そんなこと言わないでよ。

可愛くないから、一緒にいれないんだって思わせてよ。

そんなことを思った。

怒った顔を見た彼はすぐに

「冗談冗談」

と茶化した。

その時にはもう、インターンで出会ったあの人のことなんてすっかり忘れていた。

タイミングよく現れて、いつも私を引っ掻き回す。

私は、彼を諦めるのを諦めた。

受け入れよう。

心の中で、うまく折り合いをつければいいだけの話だ。

もし本当に彼が運命の人なら、なにかが起きるはず。

今はもう、あらがうのはやめよう。

そう決めた。

運命なんていうよくわからないものに、判断を託してみた。


そして、ある日。

そのなにか、は起きた。


つづく



#エッセイ #恋愛 #実話



言葉を綴ることで生きていきたいと思っています。 サポートしていただいた分は、お出かけしたり本を読んで感性を広げるのに使います。 私の言葉が誰かに届きますように。