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映画#1『2012』

今日も今日とて学校は休校。ずっとゲームやら漫画やらYouTubeやら部屋に籠ってやってても無粋というものなので、父の持っているブルーレイの映画を観ることにした。
その中でも一際目を惹いた映画『2012』を今回鑑賞した。
個人的にはとても楽しめた映画だった。という訳で余韻がまだ続いている内に感想をここに記していこうと思う。

作品の概要

本作はディザスター映画で、「地殻変動により滅びゆく地球で、果たして家族は生き残れるのか!?」という物語。2020年に公開された、同じくディザスター映画である『グリーンランド』も同じような物語だが、今作『2012』は主人公ら一家だけでなく世界中の人々の家族・友人に焦点を当てている。当然物語の中では生き残った者達もいれば、呆気なく死んでしまった者達も多くいる。更に政府関係者では人類の救済に保守的な者もいればより多くの人を救うべく奮闘する者もいた。多種多様な人々が、地球が滅びるという窮地で如何に手を取り合っていくか、それが今作のコンセプトの1つのように思える。

「滅び」の映像美

思わず「うおお……」と呟いてしまう程の崩壊っぷり。

今作における地球崩壊の原因は地殻の崩壊によるものである。各地でマグニチュード10を超える大地震が発生し、大規模な地割れが発生し大陸が崩壊。その衝撃により当然建物は全滅する……というか地面が消えていくので最早人間が立つ場所すらない始末。一応主人公たちは飛行機で空へ脱出することができたが、どれだけ多くの生命が失われてしまったのかは想像に難くないだろう。

特に目を引いたのは、滅びの最中で神に祈り続ける宗教者達だ。彼らは祈りにより神に救いを求めるが、それでも自然の圧倒的な力にはその祈りも届かない。

ミケランジェロ作『アダムの創造』
ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂の天井に飾られている。

特にシスティーナ礼拝堂に飾られた『アダムの創造』の真ん中にヒビが入るシーンは、正に「神は人類を見捨てた」という絶望感を強く醸し出している。

現実でこんなことが起こるのは御免蒙るが、個人的にこの「滅び」の映像は美しいとさえ思えた。人類が長年かけて築いた叡智が、自然の暴力によって一瞬にして崩れ去る。そんな誰も止めることの出来ない「暴力」は、多くの生命の形ごと奪っていく。ひどく残酷だが、それさえも「美しさ」のひとつだと思った。

やっぱり政府はひどかった

ディザスター映画の真価は、為す術なく崩壊していく世界を舞台に繰り広げられる人間ドラマにあると私は思う。
今作は主に2人の主人公の視点で物語が紡がれてゆく。
作家をしていた家族の父親と、地学の研究で今回の地球の異変を突き止めた科学者だ。
1人は家族のために、もう1人はなるべく多くの人たちを救うために奮闘するが、特に目を引いたのは政府の決断だ。

先程述べた同じくディザスター映画である『グリーンランド』でも同じように、「今後の地球の発展のために貢献できる人物」もしくは「計画に巨額の投資をした資産家」だけが政府の公認のもと、命が助かるように仕組まれていた。しかし当然、選ばれていない人間は地球と共に滅ぶ運命となってしまっている。しかもそういった決定をしているのは大体決まって米国の政府である。「現実にこういうことが起きてもこうなってしまうのかなあ」と観る度にいつも思ってしまう。

しかも政府は、民衆の混乱を招いてしまうとして今回の地球の異変を一般人に伝えない体勢を取っていた。そしてその事情を知ってしまった人物は秘密裏に暗殺する始末。最終的には大統領が国民に伝えたが、徹底して「選ばれし人間」を選別する米国の姿勢には恐怖を覚えざるを得ない。

少し引っかかった部分

総じてとても面白い映画だったが少し引っかかった箇所もあった。

1つ目に「登場人物の呆気ない死亡シーン」だ。
先述した通りこの映画では多くの主要人物が災害による災害または二次被害などで命を落とすが、一部の登場人物はかなり呆気なく物語から退場してしまう。アメリカ大統領は国民と運命を共にする決断をした上で津波に呑まれ、連れ人を騙った2児の父は自らを犠牲に息子を助けた。
このように名誉ある死を遂げた人物がいる中、飛行機を運転した主人公の元妻の交際相手は機械の歯車に巻き込まれて死亡した。
主人公一家を乗せた飛行機を運転するという重要な役目を担い、軋轢が生じていた主人公とも仲良くなっていった所でこの死亡シーンはとても衝撃的だったが、同時に「え、こんなにあっさり?」とも思ってしまった。主人公一家も割とあっさり割り切っていたので、少し違和感を感じてしまった。

2つ目に「展開の都合の良さ」がある。
これに関してはディザスター映画において仕方ない展開と言える。何しろこれが無ければディザスター映画のほとんどはバッドエンドへと突入してしまうからだ。
例を挙げると大地が崩壊し建物が崩れゆく中で飛行機がスムーズに飛行したり、その飛行機が離陸する際に地面が崩壊してもあっさり離陸できていたり、火山が大噴火して火山弾が降り注ぐ中で車を運転したりなど、「なんか都合がいいなぁ……」と思ってしまったのである。

総評

この映画は2009年に公開されたが、当時にしては破格のCGをこの映画は取り入れているように思える。先程述べた通り、世界中の大地が崩壊するシーンは正に圧巻の一言だった。
現に歴代のディザスター映画でも、『アルマゲドン』『インディペンデンス・デイ』の次に傑作と称されている。
「ディザスター映画の人間ドラマは微妙」と先入観を抱いてしまう人もいると思うが、是非一度観て欲しい。

Fin

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