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映画#2『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』

私は先日から、卒業式の前日まで学校に登校しない所謂「自由登校期間」に入った。しばらくの間暇になるこの期間、バイトして収入を得つつ趣味を謳歌していきたいと思う。

さて、そんな自由登校期間の幕開けとなる前日の学校の日に、友人から映画のお誘いを受けた。かのCAPCOMの有名なゾンビサバイバルゲーム『バイオハザード』の映画『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』だ。

私は自称映画好きだが、ホラー映画は正直言って苦手である。あの巨大なスクリーンとスピーカーからの爆音で送られる恐怖映像を真っ暗な映画館で観るのは個人的にとても怖い。というか大きな音が元々あまり好きじゃない。過去に邦画の『シライサン』を友達と観た際、ビビりすぎて友人達に笑われた程だ。
今回は洋画ホラーという明らかに脅せることが得意そうなジャンルに加え、かの有名な『バイオハザード』の映画である。徹底的にこちらをビビらせまくるに違いない。

「怖いから観たくない」
「でもバイオハザードは好きだから観たい」
この2つの相反する気持ちを胸に、友人と共にシアターへと向かった……

くっそ怖いゾンビ共

約100分間の上映を終え、頭の中で物語を回想している内に真っ先に思い浮かんだのが……

ゾンビめっちゃこええ。

この映画は本当にこれに尽きる。
血色の悪さが限凸している肌に虚ろな目。そんでもって暗闇の中から奇声あげてこちらに襲いかかってくるものだからとてつもなく怖い。

周知の事実かもしれないが、バイオハザードの映画化というのは今作が初めてではない。過去には6作に渡り物語が展開された洋画版「バイオハザード」シリーズが存在する。主演は「ミラ・ジョヴォヴィッチ」。最近だと同じくCAPCOMのゲーム作品の映画『モンスターハンター』で主演を務めた。

アクション→ホラーへの回帰は、バイオ6→7の流れを汲んだかのよう

アクション要素を多くとり入れた前作までと異なり、今作はホラー要素が強調されている。

その中でもやはり恐怖を痛感したのは、ゾンビが本格的に登場するまでのシーンだ。
「この街は何かがおかしい」「やばい所に来てしまった」という雰囲気は、静寂も相まって特に緊張感を抱いた。
結構物語全編を通してビビりまくっていた私も、ゾンビが登場する前のシーンで1番オドオドしていた気がする。

少し引っかかった所

映像表現やバイオならではのホラーテイストはとても良かったが、大満足かと言われたらあまりそうではないというのが個人的な意見だ。
ここからはネタバレを交えて感想を語っていくので、まだ映画を鑑賞してない方は鑑賞後に読むことを推奨する。

1.キャラ改変

まず真っ先に思ったのがキャラクターのビジュアルだ。
今作の主な登場人物は

レオン・S・ケネディ
クリス・レッドフィールド
ジル・バレンタイン
クレア・レッドフィールド
アルバート・ウェスカー

の5人である。
いずれも原作において全シリーズを通し重要人物となっている。

実際に原作をプレイした人なら思ったかもしれないが、レオンとジルの「え、これ誰?」感がどうしても否めない。
ゲーム本編では金髪のイケメンだったレオンは黒髪パーマの冴えない新米警察官になり、
ジルも逞しく凛々しい女性からレオンと同じく黒髪パーマの女性となっている。
かくいう私もバイオハザードのストーリー等は少しは知り得ているので、違和感を感じざるを得なかった。

更にいえば、エンドクレジットのオマケ映像として蘇生されたウェスカーの元に「エイダ」と名乗る女性が現れるが(こちらも原作における主要人物)、こちらも何故か「コレジャナイ感」があった。もう少しキャスティングを原作に寄せて欲しかったというのが正直な感想である……

2.原作の流れを汲んではいるけど……

今作は『バイオハザード』『バイオハザード2』の2作品の物語を複合したものとなっている。序盤にてクレアがヒッチハイクをしてラクーンシティまで乗せてもらう展開は『2』の物語の序盤と同じだが、本編の警察部隊が森の中の洋館へと足を踏み入れる展開は『1』のものである。

しかし、そんな物語の構成にどうしても違和感を覚えてしまったのは私だけだろうか。

例えばバイオでは有名な「かゆ   うま」という文章。原作では市民の日記の最後の言葉として登場し、これが普通の人が徐々に理性を失いゾンビになる、という恐怖感を鮮明に描き出していた。
今作でも原作再現のために登場させたのだろうか、ゾンビ化が進んでいる少女がクリスの家の窓にこの言葉を血文字で書くが、何故唐突にこの言葉を用いたのだろうか……
そもそもあの少女はまだ理性があったのに、何故「うまい」と言ったのだろうか……現実的に考えても色々と辻褄が合わない。

今作の事件の大体の原因はコイツ。

また今作は、『2』のラスボスであったウィリアム・バーキン博士がラスボスを務めている。死の間際に自らが製造した「Gウイルス」を注入することで原作と同じく「G生物」となるが、割とポッと出だった上にレオンの放ったロケットランチャーであっさりやられてしまった。
一応クレアの過去の回想では、兄のクリス諸共ウイルスの被検体にするつもりだったようだ。

そんな彼が勤めていたのは製薬会社アンブレラ。ラクーンシティに拠点を置いていた企業だが、表向きでは薬を作っていた一方で裏では今回の事件の要となる、生物をゾンビ化させるウイルスを製造していた。
ウイルスが蔓延したのを理由にラクーンシティを封鎖し市民諸共爆破させようとしたり、抵抗する市民を容赦なく射殺したりと中々酷いことをしているが、個人的にはもう少し掘り下げて欲しい所だった。

総評

映画鑑賞後にふと思ったのだが、今作は「バイオハザード」を良く知っているファンならイマイチだと感じるかもしれない。が、逆に「バイオハザード」を全く知らない人ならこの映画は楽しめるだろうと思った。
前述したように、この映画は原作ファンにとっては少し足りていない部分がある。反面、バイオハザードならではのゾンビの恐怖感・緊迫感は劇中でも鮮明に描かれている。まさに「入門」に相応しい映画なのではないかと私は思う。

今後の展開としては、ウェスカーが生き返ったことにより『バイオハザード4〜6』に繋がるかもしれないし、或いは国内外でも大人気の『バイオハザード7』を新たに制作しても良いのではないかと思った。
これに関しては新たにメガホンをとる監督を信じるしかないと言えるだろう。

もしバイオハザードについて触れたことない、どんな世界観なのかを知りたい、という方にはこの映画を強くオススメしたい。
是非劇場に足を運び、一度鑑賞してみては如何だろうか。

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