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ディストリクト分割に思うこと

予備知識:トーストマスターズクラブの組織構成

以前にも書いたかもだけど、トーストマスターズクラブは最小単位を「クラブ」とし、そこから「エリア」→「ディヴィジョン」→「ディストリクト」→「リージョン」→「インターナショナル」と階層が上がっていく。基本的な理念としては逆ピラミッド=クラブが一番重要ではあるけれど、組織構成上は「上がっていく」という感覚の方がわかりやすいと思う。

エリア以上の単位は、地理的な要素と、それぞれの単位の最低数といった要素が考慮され、区分けされる。2023年2月時点での喜餅が所属している「ことのはトーストマスターズクラブ」は「ディヴィジョンEのエリアE3」に属し、「栄トーストマスターズクラブ」は「ディヴィジョンEのエリアE1」に、「名駅セントラルトーストマスターズクラブ」は「ディヴィジョンEのエリアE3」に属している。

この区分けは、毎年検討され、更新されていく。2015年に喜餅が栄トーストマスターズクラブに飛び込んだ際の栄トーストマスターズクラブは「ディヴィジョンFのエリア・・・多分61(62だったかな?)」だった。
※記憶が曖昧なのは、入会した当初、組織構成などに興味がなかったため(笑)

さて、階層があがって「ディストリクト」という単位までくると、人によっては「ディストリクト=国」というイメージをするかもしれない。事実、今の日本は「ディストリクト76」という一つのディストリクトでカバーしている。

それは、あくまで日本でのケース。

発祥の地であるアメリカや、広大な面積を国土とする中国などには複数のディストリクトが存在する。逆にヨーロッパなどではエリアレベルで複数の「国」をまたいでいるそうだ。
※先日、ポーランドのトーストマスターと話をする機会を得た。その人はエリアディレクターで、それぞれのクラブはロシア・ポーランド・ベルギー(だったかな?フィンランドだったかな?)という国またぎをしており、当然クラブ訪問は国境を越えてするそうだ。もっともコロナ禍においてはオンラインで行われるけども。

今はどうかわからないが、数年前に喜餅がディヴィジョンディレクターをやっていた時の世界的な感覚としては「一つのディストリクトに80~90クラブ」を想定しているそうで、それ以上増えると国際本部(インターナショナル)から「分割したらどう?」なんて話が来るそうだ。

ちなみに、クラブもメンバー数が一定以上の人数に達すると分割したら?という提案が来る。何人だったかな?事実、90分~2時間の例会で4スピーチを守る例会では、メンバー数が30名近くなってくると(さらに各メンバーの熱量が高いと)スピーチ枠が争奪戦になる。

さて、現在の日本(ディストリクト76)には、200を超えるクラブが存在している。前述の理想的なディストリクト配分でいったら、場合によっては3ディストリクトぐらいできてもおかしくないという感じ。東日本・中日本・西日本といった感じ?

でも、まだ1つのディストリクト。

そして、いよいよこのディストリクト76が分割に向けて動き出している。

今回の記事は、その分割についての話。

分割の前に統合

このディストリクト分割に対し、喜餅の(現時点での)意見は・・・

分割の前に統合しよう。そして、ビジネスをしよう。

・・・というもの。

なんでもかんでもコロナ禍のせいにしてはいけない。事実、コロナ禍においてもメンバー数を増やしているクラブは、いる。

とはいっても、事実として各クラブの平均メンバー数は、低下している。

(この辺りが「めんどくさがり屋」である喜餅の悪癖。こういう記事を書くなら自分でデータ調査をしろというツッコミをしておく)トーストマスターズクラブの統計を、日本で最もチェックしているであろうてんまさんの Facebook 個人ページの書き込みによると、ディストリクト76のクラブは216あり、そのうちの3分の1が12名以下、20名以上のクラブは3分の1を超えていないというものだそうな。

自身の肌感覚でも、ことのはトーストマスターズクラブは12名、栄トーストマスターズクラブは14名、名駅セントラルトーストマスターズクラブは11名で、実際に例会に参加するメンバーは、3~6名ぐらい。

3~6名って、凄くない?朝活の英会話クラブと化してるからね。

何が言いたいかというと、トーストマスターズクラブが、今はトーストマスターズクラブのカリキュラムを満足にこなせているのか微妙な感じなのだよね。

各役割の意味・意義・位置づけを教える人も少ない。だからその役割をこなすことで何を学べるのか?は、各自の能力次第。

「喜餅さんが入ってるクラブだけがそうなんじゃないの?」と思われるかもだけど、Facebook のタイムラインに流れてくる各クラブの「例会が開催されました」画像からも、わかる。もちろん活気のある感じ、十分な人数が確保されているクラブもある。「え?こんな人数でやってるの?」な画像も流れてくる。

光と影が物凄くハッキリしている中で、少なくとも喜餅が所属している3のクラブは、骨粗しょう症のような状態であっても「3つのクラブ」としてカウントされているのだよね。

そういったクラブが一定数いて、無機質な数字としてカウントされている。その数字を前提として、200以上という総数となり、「そろそろ分割じゃない?」とインターナショナルから言われてる。
※「インターナショナルから言われている」としたのは、【ここは喜餅の推測】ここ数年のディストリクト執行部は、分割については受け身な感覚(積極的ではない、という意味)という印象だから。一定の数字に到達したら、合理的に「分割して」という機械的な流れができていると思う。

「コロナ禍のせいにしてはいけない」とは何度も言いたい。コロナ禍でも人数を増やしているクラブは、いる。活気のあるクラブ活動ができてるクラブは、いる。

その秘訣は成功しているクラブから学ぶとしても、「今、残ってくれているメンバー」が疲労骨折をする前に、1+1=2をしちゃってもいいのではと思う。

クラブとクラブをくっつけてしまうこと、だ。組織編制上、難しいなら、「ずっと合同例会」から始めても、いい。
※この記事を書いてて「あ、いいかも♪」と思ってしまった「ずっと合同例会」(笑)

「それなりの活動水準」を意識しながら、クラブを立ち上げ、維持するにあたり、新入会員がドバッと来てしまうことは、実は困ったりする。一人一人へのケアが薄くなるからだ。

でも、統合(または「ずっと合同例会」)なら、少なくともある程度の経験のあるメンバーが集まる訳だから、その点は、問題ない。

死に体となっているけど数字としては光り輝く「1」として存在感を示すクラブを、まずは減らす。一定のクラブ活動水準を目指す。

分割は、そのあとでよいのではないか?と思ってしまう。

立ちはだかる「地方の壁」

前述の「分割の前に統合」というアイデアが通用しない部分がある。

地方のクラブだ。

1つの県に1つのクラブしかない地方では、統合しようにも相手がいない。

日本全国、津々浦々のクラブに実際に訪問したことがある喜餅(英語落語の披露では68クラブ、ディレクターやゲストとしてのクラブ訪問も加えると90クラブ)が感じたのは、「関東圏と地方のメンバーの感覚の違い」なんだよね。その違いの一つに「いざとなったら別のクラブに移籍すればいい」という、気軽さの違いがある。地方は、気軽に移籍できないのだよね。「(色んな感情を抱きながら)在籍し続ける」か「(トーストマスターズクラブそのものを)やめる」という2択しか、なかった。

ここは、大きな決断が必要になってくるよね。「オンラインでどこかのクラブに移籍してもらうかどうか」というね。コロナ禍がもたらした新たな福音がオンラインミーティングシステム。功罪の罪の部分もあるけれど、ここは功の部分を活用したらどうかと思う。
※無責任に言っちゃってるけどね。

コロナに対する姿勢も変わってきていて、対面による例会も徐々に復活してきていることから、「現時点での決断」をせず、また様子を見ることも必要なのかもしれないけれどもね。ただ、そこまで、「踏みとどまってくださっているメンバー」の糸が切れたりしないか心配。

過保護な感覚があるからの「統合→分割」案 そして「ビジネス化」

ことのはトーストマスターズクラブのファウンダー(クラブを創ろう!と決めた時に声をかけた仲間)のうちの一人は、喜餅がディレクターをやっていた時に、右腕以上に手伝ってくれた。彼女が(再度手伝ってくれると)首を縦にふらない限り、ディストリトレベルの役員はお受けできないぐらい。

そんな彼女と喜餅とは、組織運営について大きく異なるところがある。

それは、彼女は「とにかくやってみよう」というタイプで、喜餅は「いや、大丈夫?」というタイプであること。自分は「(〇〇さんは)まだちょっとその役割をお願いするには早いのでは?」という過保護に考えてしまうのに対し、彼女は「大丈夫大丈夫!やらせてみたらいいんだって」と進めてしまう。この部分が一番、彼女と意見が衝突するところでもある(笑)

過保護なんだよね、喜餅は。そういうこともあって、分割する前にもうちょっと手堅くいこうよと思ってしまう。彼女のように「とりあえず分割したらいいんじゃない?ダメだったらまたディストリクト統合すればいいじゃん?」という感覚になれないところがある。
※ちなみにディストリクト分割について「だけ」は、彼女も「こんな状態でどうなるの?」と、後ろ向き。珍しく意見が合ってるという。

トーストマスターズクラブは経済活動をしている企業とは違うし、ボランティア団体なのだから、分割しようがなんだろうが、おそらくは損害はない・・・だから、挑戦したっていいじゃない?いつも言ってるじゃん「失敗していい場所」なんだから・・・という観点からすると、「まぁ、やってみたら」なのかも。

過保護な喜餅は「いや・・・」と、それでも思ってしまうのだけど。

疲弊する「やる気のあるメンバー」

過保護になってしまうのは、今、自分自身が疲弊した感覚にあるからかもしれない。

所属する名駅セントラルトーストマスターズクラブでは、本当は今年、自分は会長を受ける予定だった。一度「受ける」と発言していた。でも、昨年の秋に開催されたイベントに注力したかったこともあり、辞退してしまった。それは、代わりに受けてくれた他メンバーがいる、ということ。

最初から固辞するのと、受けると言った後にやっぱり無理って、全然、違う。

その申し訳なさから、名駅セントラルトーストマスターズクラブの例会には極力参加して、可能な限りスピーチをやっている。前述のとおり、例会への参加人数、少ない。スピーチをやる人も、少ない。英語のスピーチを準備して、練習して、披露する時間的な余裕がある人が少ないから。

少しだけ弱音を吐くけれど、自分自身だって、楽々とスピーチをしている訳じゃないのだよね。もっとスラスラと、まるで即興準備スピーチのようにアウトプットできる英語力があれば・・・と、自身の能力の低さに辟易する。

ちょっとね、大変なんだよね。

まだ自分はパブリックスピーカーとして存在したいと思っているから「これは自身に与えられた越えるべき壁だ」と思って挑戦できるけど、そういう人ばかりじゃないからね。

せっかく心に灯がともっているメンバーの、その灯が疲弊で消えてしまうのは、どうなんだろうと思ってしまう。これも過保護な感覚なのかもだけど。
※たとえば全国大会の運営とか、短期間で行われ、且つ文化祭のようなイベントを集中して手伝って、そのあとに少し燃え尽きる、といったものとは種類が違うとは思う。イベントは、ゴールが見えるけど、今ここで挙げてる問題って、ゴールが見えないから。

中には「ボランティア活動なんだから、嫌だと思ったら、疲れたと思ったら、やめたらいい」というド正論も、ある。

きっと究極に「個」(そして最小限の単位:家族とか)を大事にしていらっしゃる方なんだろうと思う。名刺には「喜餅」としか入れないようなマインドの方。

自分はちょっと違ってて。

「現トーストマスター」だろうが「元トーストマスター」だろうが、「おぉ、素晴らしい団体に所属していますね」って誇りたいのだよね。黒歴史のように肩書きに挙げないような、そんな寂しいこと、嫌なんだよね。

過保護だな、やっぱり。

おいおい、「ビジネス化」に触れてないやん

「統合→分割」案のところで見出しに「ビジネス化」とあるのに、触れてないやん、とツッコミを入れた方、お待たせしました。

・・・すみません、詳細はここでは書けません。妬みとか誹りとか、受けそうだから。

でも、実験的にやってみたいと思うところは、ある。

過激な意見と承知して言っちゃうけど、クラブスポンサー・クラブコーチ・クラブメンターという役割、十分に機能していないと思う。

「いや、成果を出したところ、あるよ!」という意見、わかる。それは、その役を任された方の個人の能力と熱意、そして事情によるところが、強い。

つまり、ただの肩書きで終わらせる人と、ちゃんと果たす人と、いるということ。そしてそれに振り回されるクラブがある、ということ。

個人の能力と熱意、そして「事情」としたのは、役割を受けた時は時間的・経済的・精神的な余裕があったのが、外部要因で余裕がなくなってしまったこともあるだろうから。仕事が急に忙しくなった、とかね。

トーストマスターズクラブは、市井の人がその枠を少し広げて成長する場所であると思っている。だから機会は平等に与えられていいし、挑戦は大歓迎だと思う。失敗していい場所だから。

でも、その挑戦に振り回されるメンバーなりクラブなりがあるということは、理解しておかないといけない。

人には無限の可能性があると信じてる。だから「英語」落語家として、ネイティブの英語落語家やパブリックスピーカーと対峙していくんだ!という感覚は、ある。

ただ同時に、「今」という「点」で見ると、喜餅が劣っている点(もちろん、優れている点も)が存在しているのも、事実。「時間」という「奥行き」を加えたらどう変化するかわからないけれど。

能力や適性は、人によって「違う」ことを理解しないといけないし、伸び代は考慮しつつも、その違いを踏まえて色々と考えないといけないと、思う。

それが、クラブスポンサー・コーチ・メンターには大きく当てはまると思う。

そこをしっかりと「ビジネス化」していったら、もうちょっと持続可能性は高くなるのではないかなぁと思ったりしてる。

同時に、そこが妬みや誹りをうける要素になる。だって、選ばれる人がいるということは、選ばれない人がいるということだから。誰が選ぶの?ってこともあるし。

だから詳細については、ここでは触れないようにする。

もう一点、ビジネス化・・・というよりビジネスマインドが必要なのでは?と思うのは、「撤退」に対するマインド。前述の、統合という判断もそうだし、メンバーが少ないクラブは、一度幕引きをして、捲土重来を図るというのもそう。

コンビニなんて、その辺り、シビアじゃないです?

ボランティアって各自の「やる気」がリソースになってるから、そういったシビアな決断が難しいのかもね。事業だと「各店舗の財政状態」といった要素を根拠にできるから。

この辺り、各役割が任期1年だから難しいのかもな・・・。

実はA級戦犯の喜餅

こういった話をすると、現執行部への批判とか否定とか不満として捉えられる可能性あるかもだけど、決してそうではない。現執行部の方達は、わかってくれると思う。

だってこのディストリクト分割案は、昔から出てた話だし、時期によっては肯定的・前向きに捉えてた方達だっていると思うから。

もう一つ、責任を負わない立場の人はね、好き勝手言えちゃうのよね。今の自分みたいな立場の人。もちろん、好き勝手言えるからこそ面白く斬新なアイデアも出るかもだけどさ。

自身の時間を使って頑張ってくれてる方達に、批判の矢が飛んでこない場所から偉そうに上から目線で「あーしろこーしろ」なんて、申し訳ないよ。

かくいう自分は、A級戦犯だと思っている。

中部地方のクラブを増やすこと、できなかった。中部地方のメンバーを増やすこと、できなかった。

全国の色んなクラブを回って英語落語を披露して、その中で「入会します!」とか、英語落語のお客さんが「トーストマスターズクラブに入りました!」って実績は、ある。

けれど中部地方の統括(ディヴィジョンディレクター)として、結果を残せず、次のメンバーにバトンを渡した。

A級戦犯なのだよね。

ディレクターとして結果を出せてないという、後ろめたさが、ある。だからそんな偉そうなこと、言える立場にないのだよね。

そんな喜餅だけど、逆に結果を出せなかったからこそ、自分自身を含めて疲弊していくメンバーを見るのがしのびないね。

冷徹に「ボランティアなんだから、遠慮なく休憩して(やめて)いいんだよ」と、言えない。だって、ただ疲れてるだけで、本当は続けたいんだもの、クラブで自分を磨きたいのだもの。

まぁ、実際は、自分が辞めたって、クラブは存続するし、なんとかなるのだけどね(苦笑)

おわりに

こういう形で、所属する組織や団体に対して誇りを感じたい、誇りを感じたくなる組織や団体にしようよ!・・・って思うあたり、現代の価値観に沿ってないのかもしれないね。

世界は個人主義に向かってるから。

でもなぁ・・・オープンイノベーションやらなんやらと、必要な時に必要な人とコラボするなんてのが流行ってるけどさ・・・結局は、チーム運営でしょう?単位と期間が小さく短くなるだけで。

超絶個人的な意見としては、これからの必要な人材は「バイプレーヤー」だと思っていて。それは組織運営や団体運営を円滑にまわすことができる調整能力ややる気スイッチを探せる能力・押せる能力のある人だと思ってる。

だって世間の皆が主役になりたい世の中になってるから。主役と主役がミックスアップするためには、潤滑油の名脇役、絶対に必要。

だからあまり気軽に「やめたかったらやめればいい」って思いたくないのだよね。そういうアプローチじゃなくて「もっといたくなる組織にするには?」を考えたいのだよねぇ。
※本当に辛くて・・・な心境にある人を否定しないよ。そこは冗談抜きにやめて、いい。


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