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40歳のおっさんが乙四をゼロから受験した話(4/4回)

(前回のつづき)

試験に持っていく物

準備をするものはあまりないのだが、受験票を作るために証明写真が必要になる。
半年以内に撮影されたものを持っている人は少ないので、用意する必要があるだろう。
写真のサイズも指定されているので、間違いのないように。
節約志向の私はスマホを使って200円でコンビニプリントできるサービスを使った。

持っていくものは受験票、筆記用具(えんぴつ消しゴム)。
会場によっては時計がなかったりするので、腕時計を持っていくとよいかも。
ただし、通信機能があるスマートウォッチは使用厳禁。
そして当然だが、試験中はスマホは電源を切らなくてはいけない。

試験当日

いよいよ試験の日。
余裕を持って妻と一緒に試験会場に車で向かう。(消防センターや工業高校が会場になることが多い)
集合時間が近づくにつれ、受験者思われる人々が集まってきた。
受験者は年齢層はとても幅広く、10代~60代くらいまで本当にいろんな人がいる。
受験者のうち1割強の人が女性で、私の隣の席の人も女性だった。

受験番号ごとに案内の紙が貼られており、番号の近かった我々夫婦は同じ部屋で受験することになった。
着席して机に受験票と筆記用具を置き、準備を整える。

そして試験時刻が迫るにつれて、ある思いが沸き上がってきた。

「あれ、周り空席多すぎじゃない?もう試験始まるよ!?来なくていいの!?1割以上いないよね!?」

そうなのだ。
なぜか乙四は試験の出席率が低い試験としても一部で有名なのである。

おそらく先生の勧めで申し込みをした高校生たちが当日面倒くさくなってバックレたり、
ネットの情報を信じて一夜漬けで何とかしようと思っていた人が前日に問題集を開いて「こりゃ1日じゃ無理だわ」とあきらめたりするので試験会場にやってくる人がほかの試験に比べて少ないらしい。
統計データからも、申請者(申し込んだ人)と受験者(会場で受けた人)が12%ほど違っている。
つまり、88%しか試験会場にやってこないのだ。

乙四には受験の前提資格や受験資格もない、誰でも受けられる試験なのだが、そのぶん受験意欲が低い人や勉強していない人も多いのである。

これが著しく低い乙四合格率の要因なのだろう。

それにしても、本当に欠席者が多いのには驚いた。
これだけはネットの情報通りだったと思う。

時間となり、試験官から一通りの説明を受ける。
乙四の試験時間は2時間だが、開始から35分以降はいつでも退出できるらしい。
受験票の写真と本人確認のため、試験中に顔をチェックも行うそうだ。
説明が終わると最後の待機時間となる。
ほんの数分だけど、心を落ち着かせることに努めた。

試験開始の合図が試験官より出される。

すぐに問題を開き、ここ1か月の成果を出すための試験をスタートさせた。

乙四試験は全35問の5択問題。マークシート記入式。

「危険物に関する法令」      15問(9問以上の正解が必須)
「基礎的な物理・化学」      10問(6問以上の正解が必須)
「危険物の性質と火災予防・消火」 10問(6問以上の正解が必須)

この3分野全てで6割以上正解しないと合格にならない。

まずは法令の問題。
これは問題数も多く、参考書に出てきたものと似たものがたくさん出た。
厳しく見積もっても12問以上は取れているだろう。

次に物理化学
ここで手が止まってしまった。
わからない問題が最初から3連発。
こんな分野は出ないだろうとマークが薄かったところ、知識があやふやなところが3つ続けて出てきてしまった。
思い切って飛ばす。
しかし残りの7問もわからないものがチラホラ。
確実に点が取れると思う問題は4問だけ。やはり鬼門だった。

最後の危険物の性質
ここも参考書やアプリでやった問題がそのまま出てきてラッキーだった。
8問は確実。おそらく大丈夫だろう。

問題を一通りやったところで、試験官から35分経過の合図が出る。
まだまだ時間はある。最後のあがきをしなくては。
まず、物理化学以外を2回ずつ見直してマークシートを埋めていく。
さらにマーク個所が違っていないかも見直す。同じ問題に2つ以上マークすると問答無用で不正解となるのだが、結構このミスをする人が多いらしい。

そこからの時間は、物理化学の問題を何度も見返す。
ここの正答率をどうにか上げねば合格はできない。
もう一度問題文を含めてチェックをしていく。問題文の『5つのうち正しいものはどれか』『5つのうち誤っているものはどれか』も意外と見落としがちなので、えんぴつで線を引いて間違える確率を極力減らす。

物理化学の現状としては
自信あり 4問
それなり 3問
わからん 3問
という感じ。

まずはわからん3問の正答率をアップさせる。5つの選択肢のうち、『これは絶対にないだろう』というものを削っていく。
全くわからない5択だと正解率は20%だが、絶対にない選択肢を1つ削れば4択になって25%、2つ削れば3択になり33%、3つ削れれば2択で50%まで正解率が上がる。
それまでの知識を総動員して、削っていく。
それなりに自信のある問題も、『本当にそれでいいのか?』と振り返りながら読み間違いのミスを減らしていく。

こうしたところで

自信あり 6問
それなり 2問
わからん 2問

までもっていくことができたと思う。
他の2分野と同じように見直しをしてマークを記入。
最後に全体のチェックをしてから手を挙げて、試験官に提出。
試験開始から80分が経過していた。

物理化学にやや不安があるものの、とにかく試験が終わったという気持ちが徐々にこみあげてくる。
やや遅れて妻が車に戻ってきたころには、中学時代の定期テストが終わった時のような晴れやかな気持ちになっていた。

結果は手紙で送られてくるのだけど、それより前にネットで確認することができるらしい。

合格発表

合格発表当日。
正午に結果が発表されているのだが、仕事の都合で確認することができない。
仕事が終わり、急いで合格発表ページへアクセスをする。

試験を受けた日の乙四の結果ページへのリンクが作られており、どうなっているのかドキドキする。

感触的にはなんとかなっているんじゃないかと考えているのだけど、マークミスやら物理化学のヤマが全外れしている可能性もある。

えいやっ!とリンクをタップすると、合格者の番号が一気に表示された。

自分の番号はあるのか、ないのか……?

拡大して見ていくと自分の番号はそこにあった!
無事合格。
そして妻の番号も合格者一覧に掲載されていた。
夫婦で合格とはめでたい限り。

この日は夫婦で祝杯を大いにあげた。
お互いに仕事で使う資格ではないのだけど、1か月2人で頑張って合格できたことはとっても嬉しい。
試験直前、お互いに問題を出しあったりしていたのも良い思い出だ。
(しかしながら、妻は自分の半分くらいの勉強時間だったのに合格していたことには正直驚いた。要領が良いのだろう。)

番号掲示の2日後に試験結果が郵送されてきた。
合格通知の下に何点取れたかが記載されている。

法令    100点
物理・化学  90点
性質・消火 100点

なんと2分野が満点だった。やばいと思っていた物理化学も1問ミスだけの準パーフェクト。
最後まであきらめず消去法で正答率をアップさせた甲斐があったのだろう。

こうして無事に合格することができた感想だが、
何かに目標をもって計画を立てて勉強をするという経験はとても新鮮だった。

勉強のためにファミレスに行って食事+勉強なんて20年ぶりくらいの経験を楽しめた。

試験中に最後まで苦しんだ物理化学の分野だが、解説サイトによると難化が進んでいるらしく、近年は厳しい問題が出てくる傾向にあるそうだ。
たしかにこんなところは出ないだろうなと思ってた分野が出てきており、それが何問も続くと大いに焦ってしまう。
学生時代、物理化学が苦手だった人は重点的にやってみて得点の底上げを狙うのがいいだろう。

あとはネットの情報に惑わされず、コツコツ自分のペースで参考書をぶん回せばきっと合格は見えてくると思う。
自分みたいな40のおっさんでも合格できたのだからきっとできるはずだ。

(了)