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BUMP OF CHICKEN結成25周年に向けた雑記


25年あれば何もかもが変わる、というより変わらないものを探すほうが難しいかもしれない。




25年前は買い物するのに現金がいらなくなるなんて思わなかっただろうし、出前で丼物や寿司どころかなんでもかんでも届くようになるなんて思わなかっただろうし、全国各地に散らばる友人知人とカメラ越しに酒を酌み交わすなんて思いもしなかっただろう。



25年前の赤ちゃんも今では自分の赤ちゃんを愛でているし、新築だった持ち家にもガタがきているだろうし、子供の頃思い描いた大人とはかけ離れた大人になっていることに絶望している人もいる。




移り変わる世の中において、変わらないことは時にバカにされる。
それでいて実はとても難しいことでもある。









BUMP OF CHICKENが2021年2月11日で結成25周年を迎えた。





BUMP OF CHICKENという屋号を掲げて挑んだ初の大会が1996年2月11日開催だったことからこの日を結成記念日としているが、彼らの出会いはさらに遡る。




幼稚園時代に知り合い、中学で再会を果たしてバスケ部の万年補欠としてかくれんぼに勤しみ、文化祭に出るために組んだバンドが彼らの原点である(Gt:増川はこの時点で正規メンバーではないが)



まぁそのあたりの歴史は僕が説明するよりもネットで漁ればいくらでも出てくるからそれを参考にしてほしい。





バンプを語る上で「厨二病」という言葉は切っても切り離せない。




独特の世界観や物語調の歌詞は当時圧倒的な人気を誇ったフラッシュ動画の題材にピックアップされて注目を浴びる一方で、そうした文化を含めて蔑む人々の標的にされ、それはいつしか「厨二病」というレッテルに名を変えてこびりついてしまった。




今ほどネットが普及していない時代とはいえ、少なからずそういった声はバンドに届いていただろう。

それでも彼らはスタンスを変えることなく、ただ愚直に自分たちの信じる音楽を続けてきた。
その結果「BUMP OF CHICKEN」というジャンルを確立したといっても過言ではない。







バンプの出現で日本のロック史は変わったと言われる。



パンクやメロコア界隈がHi-STANDARDやELLEGARDEN、青春パンク界隈がGOING STEADY、オルタナ界隈がNUMBER GIRLに憧れたようにBUMP OF CHICKENは今のJ-ROCKの道標となった。



大げさ、ではないと思う。






だって一時期バンプの猿真似のようなバンド、湧いてたし。



本人達がどう思ってたのか知らないけど、大人たちに「〇〇のバンプ!」ってクソみたいなキャッチコピーつけられたバンドも多かった。



その頃の過熱期は過ぎたけど、最近のアーティストには思春期をバンプと過ごしてきた人達も多くてインタビューで公言したりあきらかに意識したような曲を生み出している人もいる。


ただ、バンプをそのままなぞったような音楽ではなくて、バンプの影響を受けつつもいろいろな要素を取り入れて自分の音楽に昇華してる。



米津玄師なんてその最たる例だろう。



もはや音楽をカテゴライズする時代ではないし、ロックは死んだと言われることも増えたけどBUMP OF CHICKENの魂が今日の日本の音楽に息づいている。
個人的にはそう思う。




と言ったものの、バンプの音楽の特徴って言語化するのは難しいのよね



昔は8ビートでドカドカ、ギターもベースも勢い任せ、お世辞にも演奏が上手いとはいえないギターロックだったし、今は同期を取り入れながら一音一音が洗練されたオサレなサウンドに様変わりしていて、たまにピコピコしたりしてるし。




メロディー「だけ」ならこれほど突出するようなことはなかったように思う。





いやまぁ僕みたいに藤原基央の爪弾くアルペジオや癖のあるフィンガーノイズだけで涙がこぼれそうになる人間もいるが、メロディーに唯一無二の特徴があるかと言われるとそれは別問題だ。




歌詞とメロディーの親和性



これに尽きる





藤原基央の紡ぐ歌詞がバンドの根幹であることはもはや語るまでもないけど、その世界にピッタリとハマるメロディー、それによって曲としてのパワーが何倍にも膨れ上がる。




代表曲「K」は黒猫と飼い主である絵描きの物語を描いたものだけど、間奏のギターソロは黒猫が命をかけて走る様が思い浮かぶようだし、「Gravity」は幼い頃の夕暮れと、それを思い返す現在の自分が記憶の間で揺れ動くようなサウンドになっている。




そんな情景を紡いだ歌詞をメロディーに乗せる


(めちゃくちゃネガティブな歌詞をあえて明るいメロディーに乗せることもあるけど)


そうやって25年間変わることなく、実直に自分達の音楽を作ってきた。





そんな25周年を飾る祝祭『Silver Jubilee』




2022年2月10、11日という25周年終わりの日と26周年始まりの日に開かれるはずだった久しぶりのライブ。



あえなくコロナの感染大拡大によって延期になってしまったけど、無事7月に開催されることがアナウンスされた。





記念日開催ではなくなってしまったけれど、約2年半ぶりにファンの前で音を奏でるという事実に変わりはない。




当日はどんな気持ちで幕張メッセに向かうのだろうか。
まだ想像ができないけど、ここ数年の中で1番ワクワクしていることは間違いない。




開催までもう数日。



とりあえずは体調にだけは気をつけて無事にその瞬間を迎えたい。





会場が暗転してThe Who の 『A Quick One While He's Away』が鳴り響くその瞬間を。

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