夏と麦茶
今年の梅雨は長かった。
いや、これを書いている現時点ではまだ梅雨明けしていないし、日数的には平年並みらしいけど、ここ数年はわりと空梅雨のような感じだったからここまで梅雨らしいのは久々な気がする。
数日前、朝目覚めて窓を開けるとセミの声が聞こえた。
その声は日を追うごとに大きくなっていて、もはや風情もへったくれもなくて騒音にすらなりつつある。
夏が来たなぁとぼんやり思った。
夏になると無意識に麦茶を手に取ることが多くなる。
夏といえば海?花火?
いやいや、夏といえば麦茶だ。
学校、部活に行くときには麦茶がなみなみと注がれたでっかい水筒が相棒だった。
休み時間になればがぶ飲み、部活の合間にがぶ飲み、お茶がなくなったら水道で水を補給してまたがぶ飲み。
中身が見えないのを良いことにポカリを入れてくるやつは神と崇められ、1杯のポカリを恵んでもらうために苦心したものだ。
家には冷水筒に入った麦茶が冷蔵庫に常備されていた。
氷を入れたグラスに麦茶を注いで、冷える前に一気に飲み干してまた注ぐ。
2杯目は急いで飲まないから、時間が経って汗をかいたグラスがほったらかしになる。テーブルがべちゃべちゃになってるのに気づかず漫画を置いてしわくちゃにしてしまうのが日常だった。
少し考えてみればそんな光景は年中あったはずだ。
でも思い出せるのは夏の暑かった日のことだけ。
汗だくになりながら野球をして、お昼に帰ってきて吉本新喜劇をみながらそうめんをすすり、友達と釣りに行っていたような、そんな思い出。
今年も夏が始まる。
部屋で麦茶ばかり飲むだけの日々になりそうだけど、そんな夏もいいのかもしれない。
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