核兵器禁止条約に日本が参加するには、米国の核の傘を捨てる覚悟が必要だ

本稿を執筆しているのは2020年8月6日、すなわち広島原爆の日です。TwitterのTLでは被爆者の方を悼むと共に「核兵器禁止条約」に関する議論が活発です。さて、この「核兵器禁止条約」に関してちょっと考えてみましょうか。

読者の皆様方は「核兵器禁止条約」の内容をどこまでご存知でしょうか?「核兵器の生産・開発・保有を禁じている?」正解です。これは同条約第1条a項に定められています。

しかし、同条約が禁じている内容は他にもあります。同条d項には「核兵器の使用及び使用の威嚇」が禁じられています。そして、同条e項には「この条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき,いずれかの者に対して,援助し,奨励し又は勧誘すること。」、同条f項には「この条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき,いずれかの者に対して,援助を求め,又は援助を受けること。」が禁じられています。

アメリカによる核の傘の提供を受ける事は、同条約第1条e,fに違反する可能性が極めて高いと判断されます。それは、同条dの「核兵器の使用及び使用の威嚇」を「援助、奨励、勧誘」し、「援助を求め、又は援助を受けること」を意味するからです。

すなわち、日本が核兵器禁止条約に批准する為には、米国の核の傘からの離脱が求められます。これは、日本の安全保障を根本から見直す議論が必要となることを意味します。日本にとり、戦後長らく米国の核の傘は自明のものであったのですから。

従来の通り米国の核の傘に依存しつつ安全保障政策を推進していくのか、あるいは被爆国として核兵器禁止条約に批准し、米国の核の傘に依存しない国防体制を模索するのか。この議論は、大きな意義があるものと思われます。

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