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遠藤航選手、リバプール移籍完了が秒読み段階に

衝撃のニュース。ファブリツィオ・ロマーノ記者は、リバプールがシュツットガルト所属の日本代表MF・遠藤航選手を完全移籍で獲得するオファーを出したと報じた。

シュツットガルトと日本代表でキャプテンマークを巻く

遠藤航選手といえば、われらが日本代表の現主将であり、特に対人守備においてはワールドクラスとも評価される選手で、メンタリティも含めてまさに縁の下の力持ちというべき選手。こうした選手がつい4年前に欧州王者となった名門リバプールからオファーが来るのは、日本人のサッカーファンとしてこれ以上嬉しいことはない。
(以下、外国人選手に敬称をつけていませんが、日本人選手と同様リスペクトしていることを付記します)
リバプールは、プレミアリーグ開幕戦で難敵のチェルシー相手にガクポ・マクアリスター・ショボスライの攻撃的な3センターを形成し、昨冬加入のガクポ+新戦力2人の組み合わせだった中で悪くない守備連携を見せていた。加えて、プレシーズンではアンカー起用されていたカーティスもおり、徐々に新境地を開拓していけると期待されている。しかし、ファビーニョとヘンダーソンという主力MFが揃って今季に退団し、守備的なMFが不在となっていたことから、守備面で強みのあるMFを探していたことはご存じの通りで、ビッグクラブから注目されたブライトンのモイセス・カイセド、サウサンプトンのロメオ・ラヴィアを獲得しようとしていたが、なんと二人ともチェルシーへと移籍し(ラヴィアはまだ確定でないが)、いまだ補強できずにいた。そんな状況下での日本代表MFの獲得オファーなのである。

リバプールの第一候補でなかったことは真実として、遠藤航選手は実力不足なのだろうか?

もちろん、否である。それをプレーで証明してくれると信じて、今季のリバプールを楽しみに応援したい。ますます、プレミアリーグが面白くなる。

移籍金は1800万ユーロ?

前述のロマーノ記者は、移籍金は1800万ユーロ(約29億円)と報じている。Transfermarkt の算出する遠藤航選手の評価額は650万ユーロ(約10億円)で、これだけを見ればやや高額な移籍金にも思われるが、Transfermarktでは年齢を重ねるにつれて評価額が下落する傾向にあり、また当然ながら「評価額=実力」でもない。将来的に「お買い得だった」と評価されることがあれば、遠藤選手がいま思い描くような活躍ができたということになるだろう。一つ言えることは、あまりに高額な移籍金ではそれがプレッシャーになることもある中で、それほど大きな重圧を感じるような金額にはならなさそうなこと。プレーに集中するために、この点はプラスであるように思える。

シュツットガルトのヘーネス監督も移籍を認める

そして、現在遠藤選手が所属するシュツットガルトのセバスティアン・ヘーネス(Sebastian Hoeneß)監督もこの移籍が実現するだろうことを認めている。日本時間17日21時ごろから、シュツットガルトの公式X(前Twitter)に連続ポストされた3件の投稿から、(3件の投稿のうち最後の1件は移籍完了後の対応について話しているものであったため省略)
監督のコメントをざっくりと和訳して引用すると、

  • 遠藤選手は移籍完了直前のメディカルチェックのためすでにイングランド入り。シュツットガルトを離れている

  • 現在30歳でリバプール移籍のチャンスを手にし、これは遠藤選手にとって「夢だった」

  • クラブ経営の観点からすれば、(得られる移籍金は)経済的に良い

  • 一方、サッカー面では当然ながら嬉しくない

  • 選手としてだけでなく人間性の観点からも重要な存在で、キャプテンでもあり、過去3年間の合計102試合(ブンデスリーガのみ)のうち99試合でプレーしており、クラブにとって重要な瞬間には常にピッチに立っていた

この監督のコメントからも、遠藤選手がシュツットガルトでいかに重要な存在であったか想像できる。
21/22シーズン最終節、試合結果次第で残留or降格をかけたプレーオフに回らなければならなくなるクラブにとって運命の一戦で、試合終了直前に値千金の勝ち越しゴールを決めたシーンは感動的で記憶に新しい。

もちろん、それ以外の試合でもほぼフル出場を続け、大きな怪我もなく絶対的な主力として君臨していた。
完全なキープレイヤー、キャプテンで、また30歳という年齢から多額の移籍金を得られる期待は薄いことから考えても、シュツットガルト側には売却の意思はまったくなかったと想像される。しかし、ローン期間を含めた4年間の貢献も考慮した上で、選手の意思を尊重した今夏の移籍ということになる。レジェンドと表現するのは大げさかもしれないが、そのように表現するサポーターが相当いることは紛れもなく事実で、そうした評価を受けながらチームを去るならば、実に理想的なことである。
以前、「イングランド・プレミアリーグでプレーするのが子どものころからの夢」と語っていた遠藤選手。最高に熱いサポーターが集まるアンフィールドに降り立つことを、いまから想像しているのだろうか。

リバプールが遠藤選手に期待していること(想像)

前述の通り、リバプールは遠藤選手の獲得に動く前、カイセドやラヴィアといった若手をトップターゲットにしていた。年齢でいえば、遠藤選手が来年2月に31歳を迎えるのに対して、カイセドは今季22歳、ラヴィアに至っては今季ようやく20歳になるティーンエイジャーである。年齢が単なる数字でしかないことは、何よりブンデスリーガの先輩であり、日本代表の元主将でもある長谷部誠選手が証明しているところではあるが、プレミアリーグ初挑戦である30歳の選手を長期的にも中心選手として計算している可能性は、少なくとも現段階ではかなり低いと考えられる。

日本代表、ブンデスリーガのレジェンド。まだ整っている

おそらく今冬か来夏には再び守備的MFの若手獲得に動くと考えられるため、どちらかといえば短期的な補強の意味合いが強いのだろう。今シーズンにおいても、レギュラー選手の座を確約されるわけではない。しかし、リバプールのクロップ監督は日本人を色眼鏡で見ることはない。ドルトムント時代に香川真司選手を指導し、その能力を高く評価していることは有名だ。また、21/22シーズンまでリバプールに所属していた南野拓実選手に対して、「タキ」の愛称で何度も呼び、「十分な出場時間を与えられずに申し訳ない」旨のコメントまで残していた[1]。加えて、どんな状況においてもチームに全力でコミットするメンタルを持つ選手を好む監督でもあり、まさしく遠藤選手はそれに該当する。そうした選手は、監督にとって心強い存在となる。
遠藤選手はフィジカル面で非常に強いだけではなく、一手先を読んだポジショニングから鋭い出足でボールを奪う知性も持ち合わせていることからも、よほどのアクシデントがなければ今後何年もプレーのレベルを維持できると個人的には思っている。

どんなキャリアを描こうとも、今後も遠藤選手を応援することには変わらない。とはいえ、何シーズンにも渡って、クロップ・リバプールの中盤に不可欠な選手としてプレミアリーグで活躍してほしいと願わずにはいられない。(完)

当代屈指の名将。記者会見の面白さは欧州で圧倒的No.1

[1] サッカーダイジェストWeb
「タキを外すのは最も難しい作業」クロップ監督、南野拓実をベンチ外にする苦悩を吐露「彼は驚くほどの練習をしているんだ」
https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=109182?mobileapp=1

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