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初めてのリアルタイムオンライン授業を学生100人対象に実施してみて感じたこと

管理栄養士を養成する学科で教員をしています。オンラインでの授業がついに始まりました。100人200人を相手にした対面での講義や講演会はやったことがあっても、完全オンラインのリアルタイムでの授業の実施は初めてです。今回初めて行ったオンライン講義を実施してみての雑感や学生たちの反応などについてまとめておきたいと思います。

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①黒板→iPadでの代用は大好評!**

昨年度までの授業では、80%黒板への板書、20%がiPadを用いた板書を映し出すという講義をしていました。今回のオンライン授業化を受けて、黒板での実施は難しいと考え、全ての板書をiPadで行なっていくことにしました。

授業はZoomを用いて行いましたので、共同ホストとしてiMacとiPadでミーティングに参加し、iPadでの板書を画面共有し、学生へ配信しました。

以前のオンライン授業講習会で、書きながら話すことは受講者への負担が高いと教えていただいていたので、「書く→話す」を心がけました。いつもの授業では、「書きながら話す」をしていたので、その癖を改めるのに結構集中しました。

また板書は文字中心ではなく、グラフィカルに書いて伝えることも意識しています。

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そのおかげか、授業終了間際に募集した感想には、

「iPadでの講義が実際の板書を見ているみたいですごく講義感があって楽しかったです!」
「一緒に書いてくれるので授業のペースがちょうどよくてわかりやすかったです。」
「先生も書きながら説明してくれるので速さが丁度良かったです」
「普通の授業してるみたいな楽しさがありました😋」

などの意見をいただきました。

これらの意見が出る背景には、学生たちが受けるオンライン授業がパワーポイントのスライドを流しながら実施するものが多数だということが関係していると思います。このタイプの授業は意識しても、どうしてもスピードが速くなる傾向があると思いますし、学生たちが初めて触れる情報に対して授業の進行がとても速く感じられるのだと思います。(このタイプの授業でも先生方の準備や対応で学習効果を高めることはもちろん可能だと思います。)

従来の授業のような安心感もどこかに感じながら、iPadを利用して一人一人に板書を届けられるオンラインの良さも実現できることから、今後もiPad板書をオンライン授業の中心にしていこうと思います。

②学生にはチャットで助けてもらうことが大事!

今回iPadでの共有が一時的にストップしてしまう場面がありました。初めてのオンラインリアルタイム授業で、iPadで板書をしていくことを中心に考えていましたので、これができなくなると思うとものすごく不安でした。

しかし、学生たちが瞬時に、

「先生の声が聞こえなくなってしまいました」
「音声が聞こえません(>_<)」
「音聞こえないです💦」

などのコメントをチャットに書き込んでくれました。僕は共有だけできていないのだと思っていたのですが、音声も少し不安定になっていたようで、学生たちが素早く教えてくれたおかげで、落ち着いて対応することができてなんとかことなきを得ました。

なんか不具合があればチャットで知らせてね!と学生にあらかじめ伝えておくこと大事です。

③学生とのコミュニケーションは「😄😆🤣🥶🤔」で!

③は、教員が一人で話す孤独を感じるのを防ぐ点と学生が授業に参加していると感じてもらう点でとても重要だなと思います。

冒頭の画像は授業が始まるまで共有していたiPadの画面ですが、あらかじめ感想や今の気分などについて「😄😆🤣🥶🤔」使ってチャットに書き込んでね!と伝えておくと、授業の合間合間で反応してくれるので、一人で話しているんじゃないんだという安心感を得られます。

学生たちは基本的にはミュートとビデオオフで授業に参加しています。こちらの呼びかけに対して、なんとか先生への反応を示そうとしてくれる学生さんたちが結構たくさんいてくれて、みんな授業に入ってきてくれてありがとう!となります。
学生たちからも

「やり取りの多い講義で楽しめました。」
「アンケート楽しかったです!」
「😊✨」「👍」

などの反応がありましたので、ともすれば聞くだけの受動的な授業となってしまいがちなオンライン授業にあっても、今回のぼくの授業では「自分が参加したなぁ」と感じてくれた人もいたのかなと思います。

④学生のチャット投稿に反応して話すことで一体感!**

これを実施できたことで、クラスの一体感を感じたと、授業参観&授業サポートとして参加してくれていた同僚の先生から感想として伝えていただきました。

学生たちからのチャットへの投稿は、特に指定していないんですが、プライベートで僕だけがみられる形で送られてくるものがほとんどです。それらに対し、「みんな書き込んでくれてありがとう!」「おぉこんな一瞬で書き込んでくれるなんて!」や飲み物を尋ねたときは、「あっボクも白湯飲んでるよ!」などの反応を示すことで学生たちは先生がこっちを見てくれていると感じてくれたのかもしれません。

学生たちを置いてけぼりにしないためにも、チャットに書き込んでもらった事への反応は大切にしていきたいなと思います。


⑤授業の途中で「疲れた?」「今の気分は?」と投げかけてチャットに反応してもらうことでペース配分の良し悪しが判断できる。

これはオンライン授業特有の疲れを考慮して、意識して呼びかけました。板書を共有してのオンライン授業では、画面を凝視して、次は何が描かれるのだろう?何を言うんだろう?と集中していることで、対面の授業に比べて疲労度が上がると考えられます。

学生がどんなに意欲を持って授業に臨んでも、疲労度を考慮しないスピードやボリュームで授業を展開してしまうと、学習効果が薄れることは確実です。

今回の授業では、授業の合間合間で

「今飲んでいる飲み物は?」
「疲れた?」「今の気分は?」

といった呼びかけをして、チャットに返事をもらうことで、学生たちの状況をみながらペース配分ができたと思います。これはこれからも意識して呼びかけていきたいと思います。


⑥家にある食品を見て答えることができる質問を投げかけて、チャットに回答してもらう→自分ごととして授業に参加→大好評!!**

僕の授業は「食品」について学ぶものが多いです。今回の授業では、食品添加物を取り上げました。
学生は、基本的に自宅で受講していますので、授業開始前に

「家にある原材料表示の見えやすい加工食品や飲料を用意しておいてください」

と伝えておきました。

手元に食品を置いておくことで授業で出てくる「食品添加物」について、実際の食品の表示を見ながら学ぶことができます。自分が見た食品添加物については、チャットに書き込んでもらい、その中から一部取り上げて、次の授業展開へとつなげる話をしていきます。

授業の終わりに学生からは、

「添加物の表示を、実際に自分の目で見ながら授業が聞けたので頭に入ってきやすかったです!」

という具体的なコメントももらえて、学生たちが「自分ごと」として授業に参加してくれているなぁと感じることができました。

学生の中には、対面授業では、手をあげて発言するのに躊躇する学生もいることと思います。今般のオンライン授業の流れは、学生たちの授業参加の機会について「フラット化」したとも言えると思います。
その証拠に、今回の授業では、こちらからの投げかけに対し、ほとんどの学生からすばやく、一気にチャットへ自分の調べた事項が書き込まれました。
これは、通常の対面授業では考えられないというか不可能な現象かと思います。
この点についてもオンラインでの双方向授業の可能性を感じます。

しかし、すべての学生が対等にオンライン授業を受ける環境にいるとは言えないのが現状です。困難な状況にいる少なくない学生たちへのケアを考えて実行していくことが今後も課題になっていくと考えています。


授業を実施してみての気づきを語った動画

今回の授業を実施して感じたことなどは以下のリンク先の動画で語っていますのでご興味あればご覧ください。(15:40あたり〜気づいたことなど話しています)
https://www.facebook.com/iryou.eiyou/videos/674451689956377/

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最後に、、

課題はたくさんあると思いますが、今回初めてのオンライン・リアルタイムでの授業を実施してみたことで、学生たちの継続的な学びをサポートできる授業の可能性とこれまで実施してきた教育のさらなる発展の可能を感じることができました。

また、とっても嬉しかったのは、最後に送ってくれた感想のほとんどが

「わかりやすかったです!」
「楽しかったです!」
「次回も楽しみにしています!」

などだったことは、教員冥利につきます。これらコメントに反応しながらちょっと泣きそうになっていました。
この1ヶ月半、今までやってこなかったことを一気に始めたことで、業務量がめちゃくちゃ増えていたんです。でも学生からの素敵なコメントをたくさんもらえたことで疲れも吹き飛ぶくらいに本当に嬉しかったんです!
次回の授業へのモチベーションになったことは言うまでもないですが、今回の授業について僕だけの経験としてはもったいないと思ったので、今一気にnoteを書き上げていました!

今回の記事は、オンライン授業のノウハウと言えるものではありませんが、状況変化に戸惑う教員の方々や学生の皆さんの学びの助けになればうれしいです!


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