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『君の庭』ビジュアルイメージ制作レシピ(その5)

【手順3】

赤い円形の模様や配置、大小の加減、喩と見立てなどがだいたい決まったので、タイトル作成にかかる。

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残ってる課題

・万世一系をどうする?
→家系図的なもの?鎖的なもの?そういえば今回のウイルスは一本鎖RNA型だな。

を取り込みつつ作っていく。

ふところが広いゴシック体を下に置いて、その上に文字をトレースするように等間隔で円を置いていく。
配置した円と円を、スクリプト(JavaScript)でつないでいく。
ちょこちょこと微調整をしながら、色を変えたりウイルスのスパイクみたいなのをくっつけたりしながら、「家系図」「連鎖」「一系」あたりを想起するようなかたちをさぐっていく。

ピクチャ 1

ピクチャ 2


大事なことはかっこよくなりすぎないこと。かっこいい成分だけで構成しないこと。もっと言えば、「かっこいい」と「ださい」が拮抗するようなヴィジュアルにすること。美しいとぶさいくが同量・同圧にして不可分に解け合うこと。
そんで、ほんのちょっと、最後の最後、鼻の差、僅差、土俵際で「かっこいい」や「美しい」に目盛りが振れるようにする。
ださい500に対して、かっこいい501ぐらい。その「1」が大きな力を持つ。ただの1ではなく、多量の相殺を踏まえた1の強さ。地点の芝居を観ればあきらか。地点の芝居のかっこよさは「だささ」の創造性と意外性がその土台となっている。不細工、みじめ、みっともなさ、カッコ悪さ、不協和、時代遅れ、どんくさい、非効率、非論理的、田舎くさい、無粋、野暮、などなど。
かっこよさは簡単に作れる。模倣の範囲でも作ることが可能だ(かっこわるいけどね)。しかし、だささは範を持てない。因数分解できない。結果しか持ち得ない、結果からしか生まれない。卵の味を知るには卵を割るしかない。なので、作るしかない。作って判断して、作って判断して、を繰り返す。意図して作れる「かっこよさ」と、意図しても作れない「だささ」が強く混じり合うところを目指す。

抽象は計画的に、具体はまぐれアタリに。は、不可避なんだ。

そんなことをボンヤリ思いながら、手を動かし続ける。
で、完成したのがこれ。

画像3


うん、

これは「ださい」に目盛り2ぐらい振れてしまった。

まあ、問題なかろう。

(その6に続く)

松本久木(デザイナー/2012年より地点のほぼ全てのグラフィックデザインを担当)



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