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居酒屋で気を遣えないのは悪なのか

数か月ぶりに居酒屋へ行った。
そこで人の酔っぱらい方に疑問を持った。
「気にしすぎな私よ。人の振り見てあーだこーだして
 それって自分の肩身を狭くしていないか?」

人の酔っ払いかた云々より自分の気持ちの小ささが気になるという、ほんとうに小さな小さな出来事がだ。

私の住む町には、シーズン毎に4種のクラフトビールを仕入れてくれる居酒屋がある。
いつ行っても常連さんがポツポツと居る。
季節の変わり目だしここでビールを、と思って、このコロナ禍で閉店したんじゃないかと心配しながらビルを見上げる。よかった明かりがついてる。まだやってた・・・。

私が席についてしばらくすると、立て続けに数組の入店がある。
店主は嬉しそうに「今日は俺一人で回してるから、もっと少ないくらいがいいんだけどなぁ」という。
ついさっき、昨日までは閑古鳥だったとの嘆きを聞いたばかりだったので、「いざとなったら洗い物くらいは致します」と茶々を入れたりした。

そうこうしていると、本当に忙しそうになる。
よかったねぇ、と思う反面、どんどん頼みづらくなるフードメニュー、お替りしたいドリンク。
すきっ腹にビールをやるとダメなんです、私・・・。
ところが、その状況をモノともしないのが、私の隣にやってきた兄ちゃん。

店主の計らいで(「俺は忙しくなっちゃって構ってやれないし、君たち年も近かろう」というやさしさ)軽いおしゃべりを楽しめるように雰囲気を整えて下さったのだが、大変饒舌なお兄さんで、しゃべくる間にどこで息継ぎしてるんだかわからない。息継ぎの間もわからないのに、グラスがどんどん空いていく。しかも悪いことに、グラスが空けば空くほど、自分のことしか分からなくなっていく様子。

店主がてんやわんやで注文を片付けていく合間に
「店主は忙しいですかね~!そんな中ですが~!僕にハイボールを~~!」と叫びだしたのに、私は大変なショックを受けた。

えっ、いま?
店主、コンロに火をつけたところだよ???
間の悪いことに会計を申し出た女の人がレジで待ってるし???

あっ、店主があからさまにつっけんどんな返答!
「まぁ、待てよ!俺今いっぱいっぱいだよ!」

そうよね、うん、わたもそう思う…。

じゃぁ、いつなら注文を頼んでいいんだよ、と言われると
そりゃお客様、好きなタイミングでいいんじゃないでしょうか…となりますけども。
すっかり間合いが掴めず、すきっ腹にビールをチビチビやるような気の弱い私には、羨ましくもありながらマネはしたくないな、と両極端な気持ちを起こさせた。

しかしそういう自分も、人の挙動を見て「あーあ」と思うようなトコ、どうなんだろうなぁ。なんてことも思う。
自分の中の「善悪」「気遣いOK、気遣い不足」っていう振り子に揺さぶられてこの人の酔っぱらい方を「悪い酔っぱらい方してるな~」なんて嫌な思いをするなんて、結局自分が損してる。

面白いやつだな~、くらいにしとけばいいのに
私はこうならないように気を付けよ!なんてやってくから、
どんどん自分にダメ出しする羽目になって、肩身が狭くなるんじゃないかなぁ。

たった一晩の、たった一言でグダグダ考えるワタクシ、
お酒ぐらい楽しく飲もうよ。な。

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