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2月17日 - ウクライナ情勢をめぐる外交交渉

ロシア政府は17日、モスクワのロシア外務省を訪れたサリバン・アメリカ大使に対し、懸案であった安全保障協議に関するロシア側の回答を文書で手渡した。

回答文書は合計で11ページで、
・全てのアメリカ軍事力の東・中央ヨーロッパ、バルト3国からの撤退、
・ウクライナに対する武器供与の断念(既供与分の撤去を含む)、
・ウクライナに対し提供されている軍事顧問団の引き上げ、
・ウクライナのNATO共同軍事演習への参加の断念、
をアメリカ側に求めている。

同時にロシア側は、駐ロシア・アメリカ次席大使の国外追放措置をアメリカ側に通告した(実際には、次席大使は先週既にロシアを出国済)。アメリカ国務省は対抗措置を検討中であることを明らかにしている。

また、アメリカ東部時間17日午前、ニューヨーク国連本部にて、約3時間にわたり、ロシアより緊急招集されたウクライナ情勢をめぐる国連安全保障理事会が開催された。議長を務めたロシア代表国連大使は、ウクライナ情勢が深刻化した根本的な原因は、ウクライナ側がミンスク合意(正確にはミンスク2合意)を履行しないことであり、また、合意推進のための協議の場であるノルマンディーフォーマットで、仲介役のフランスとドイツが合意の履行をウクライナに対して促す姿勢がないことも問題だ、と、ウクライナ側と暗にNATO諸国を強く非難した。

また、ロシア側は、安全保障理事会の冒頭で、東ウクライナ紛争地域ドンバスの親露派住人とみられる人物をテレビ会議の形で出演させ、現在のウクライナ政府のもとではドンバスの住人の社会環境はあらゆる面で抑制されているという趣旨の意見を述べさせた。

アメリカ代表として出席したブリンケン国務長官は、ミンスク合意の履行は全ての当事者が希望しているものであり、むしろロシアの軍事力の展開による緊張がウクライナ情勢深刻化の原因であり、国際社会全体にとっても大きな脅威だとロシア側を非難した。また、解決のためには外交の道しかない、と述べ、ロシア・ラブロフ外相と来週会談を行うことで調整していることを明らかにした。(最新の情報では、事態が急変しない限り、来週23日/24日での日程調整をしているようだ。)

筆者が安全保障理事会とその直後に行われたロシア国連大使の記者会を見た限りでは、ロシア側の狙いは、国連安全保障理事会の場で、ウクライナ側がミンスク合意を履行しないことが問題の根本的な原因だと非難すること、ドンバスの住民が人道的に問題のある状態に置かれており、その保護の必要性があることを強く訴求することにより、ロシアによるウクライナへの侵攻が行われた場合の事態の正当化の布石を打つことだと思われる。

東ウクライナでは現地時間17日早朝から、紛争地域ドンバスとの境界線で親露派勢力が関係するとみられる発砲が頻発し、そのうち砲弾1発がウクライナ住民一般居住地域にある幼稚園施設に着弾し、大人3人が負傷する事故が起きている。また、昨日からウクライナ北東国境付近へのロシア側の戦車部隊と攻撃ヘリコプター部隊の増強が確認されている。

(Text written by Kimihiko Adachi)

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