あの日のこと②

救急電話はすぐ繋がった。
「どうしましたか」
「あっ、あの、夫が、起きてたら、倒れてて」
そんなことを言ったと思う。

「まずはゆっくり息をしてください」
と言われた。
2回くらい言われたと思う。

私のことはいいんだ、とりあえず夫の状態を話させてくれ、急いで来てくれ! 動揺しているけど、私はまともに喋れるから話させて!

あとから子供に聞いたらすごく息が早かったよ、と言っていた。
そうだったろうな。

さて、浅い深呼吸をしたあと、住所、状態を伝えた後、心臓マッサージの指示が出た。

うつぶせに倒れていた夫を第1子と裏返した。重かったし、子供は「ひぃぃ」と言った。2子は末っ子を抱っこして、泣き止ませていた気がする。

見様見真似の心臓マッサージもどきをしながら泣きながら夫の名を呼んだ。
もちろん反応はない、身体的にも。


時間にしたら5分くらいかもしれないが、救急隊員が到着。
子供たちに最期を見せたいから全員救急車に乗せてくれるよう頼んだ。

意味があるのか分からないけど保険証をつかんだ。

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