あの日のこと①

朝、起きるとベッドには夫はいなかった。
リビングで寝ているなと7時に起床。ちなみに木曜日だった。

今でもよく覚えている。
テレビはつけっぱなし、ニュースが流れていた。
エアコンもつけっぱなしで、リビングはキンキンに冷え、静謐な雰囲気を感じた。
うるさいはずなのに静か、そんな違和感を感じた。

リビングにはベンチタイプの椅子を置き、夫はそこでPCをよくしていた。
そして彼はベンチの下で倒れていた。
例えるなら酔っ払いがベンチで転んでいる寝ているような。

「えっ、うける。ダンナちゃんどうしたの。起きて」とか言いながら、あとでこんな姿で寝ていたよとからかおうと思って写真を1枚撮って、肩に手を置いた。



「あっ、違う。」


すぐに分かった。

医療従事者でも、身内を最近亡くしたとかそんな経験はなかった。それでもこれは違うやつだ、もう駄目なやつだってわかった。


固くて冷たいのだ。


大きく名前読んで、肩をゆすって、その中で救急車を呼ぼうとしたが番号が分からない。何も頭回らない。
隣の部屋で寝ていた子が「119」と叫び、末っ子は大泣きしていた。

コロナ渦、真っ最中。
救急車がつながった。

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