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Numbersで青色申告できるかな 出納帳から仕訳帳(の前段階)を作る

MacOSについてくる表計算アプリNumbersがいつの間にか機能も増えて、これはなかなか使えるのではないかと試してみようと決めた。というわけで、Numbersで複式簿記をある程度まで自動でやれるかどうかやってみることにした。

Numbersで青色申告できるかな 暗中模索で準備

前回に引き続きNumbersで帳簿を作っていく。今回はすべての取引の記録として出納帳とそこから仕訳帳への自動転記を目指す。


出納帳

これまで使った会計アプリでは伝票方式と帳簿方式があったが後者の方が飲み込みやすかったのでここでも帳簿を作っていく。
まず出納帳を作っていく。これは現金と預金それぞれの入出金を記録する帳簿だ。

預金出納帳

前回作ったファイルにシートを追加する。列ヘッダを0にするのは前回と同じ。
シート名を"ライラック銀行"、ヘッダに日付・相手勘定科目・補助科目・取引先・適用・預入金額・引出金額・残高と入力する。

預金出納帳

前回は設定シートで勘定科目のポップアップを作ったが同様に補助科目もポップアップメニューを作る。ライラック銀行シートのヘッダ直下、相手勘定科目と補助科目それぞれに設定シートの勘定科目・補助科目セルのポップアップメニューをコピーしてペースト。そのセルを選択して下にドラッグして一行分コピーする。
次にヘッダ直下、残高列のセルに前年繰越を参照し預入金額を足し引出金額を引く計算式を入力する。
前年繰越::$C$5+F2−G2

計算式

参照先をクリックして現れるオプションで行を保持・列を保持にチェックを入れると絶対参照になる。細かい$記号入れなくていいので便利。
次にこのすぐ下のセルに前の行を参照し同様に預入と引出を足し引きする計算式を入れる。
H2+F3−G3

計算式の要素が色付けされるのが便利

これで一行目は前年繰越から計算された残高になり、次行からは直前の残高から計算されるようになった。以降はこの行全体を選択しドラッグコピーする。
実際にデータを入力してテストしてみるとこうなる。

残高が計算される

出納帳から自動で仕訳帳(の前段階)を作る

実はここからが一番の肝なのだが、決算も申告も元となるのは複式簿記で仕訳られた元帳であるがこれを出納帳から自動的に作りたい、というのが狙いだ。
仕訳とはなにかをかなりざっくり言うと
その金銭がどこから来て(貸方)どこに行くのか(借方)
これを一つの取引記録としたのが仕訳となる。
さらにここでは預金と現金の出納帳からそれを見るので、行く=引出・来る=預入になる。このそれぞれに金額が記録されれば仕訳の内容を定めることができる。
具体的にやりたいことを大まかに説明すると

  • 預入があれば借方の勘定科目は普通預金または現金、貸方の勘定科目は相手勘定科目、金額は預入金額

  • 引出があれば借方の勘定科目は相手勘定科目、貸方の勘定科目は普通預金または現金、金額は引出金額

上記の条件に従い出納帳から仕訳へと自動的に転記させたい。
実際に作ってみる。ツールバーの"表"をクリックして行ヘッダのみの表を選択する。

表を追加

出納帳の下に新しく空白の表ができる。Numbersでは一つのシートに複数の表を追加できる。
表名を仕訳帳(ライラック銀行)、ヘッダに日付・借方勘定科目・借方補助科目・借方金額・貸方勘定科目・貸方補助科目・貸方金額・取引先・適用と入力する。

仕訳帳と銀行名を合わせた表名にしている

この表に出納帳から転記させるためにヘッダ直下1行目の各列に以下の通り入力する。

日付

出納帳の日付を転記する。
ライラック銀行::A2

日付

借方勘定科目

出納帳の引出金額がある場合、つまり>0ならば相手勘定科目を、そうでないならば"普通預金"を転記する。引出なら預金から見た借方、そうでない場合は預金が借方になる考え方となる。この条件分けでIF関数を使う。
IF(ライラック銀行::G2>0,ライラック銀行::B2,"普通預金")

借方勘定科目

借方補助科目

出納帳の引出金額がある場合、つまり>0ならば補助科目を、そうでないなら「設定シート」の補助科目リスト内の自表の銀行名を転記する。この銀行名のセル参照は出納帳の前年繰越と同様に絶対参照する。条件は上記の借方勘定科目と同じだが、今回補助科目を設定しているのは普通銀行だけなのでその他の勘定科目の場合は空白がはいるようにしたい。ただしIF関数を使うと空白が0の値で返ってくるのでISBLANK関数で空白かどうかを判断して空白ならば""を返すようにしている。
IF(ライラック銀行::G2>0,(IF(ISBLANK(ライラック銀行::C2),"",ライラック銀行::C2)),科目::$C$2)

借方補助科目
設定シートの補助科目リスト

借方金額

出納帳の引出金額がある場合、つまり>0ならば引出金額を、そうでないならば預入金額を転記する。ただし例外として適用が”預金移動”だった場合は"0"を入力する。なぜこんなことをしているかというと手持ちの口座同士の振込、または普通預金から現金へ移動した場合、同じ取引を振込元と先で記録しているのでそこから二重の仕訳が発生してしまうから。なので「振込または現金への移動の場合は送金先の仕訳は借方貸方ともに金額が0の仕訳として後の処理で無効扱いする」こととして送金先の適用に”預金移動”を入力することとしている。
IF(ライラック銀行::G2>0,ライラック銀行::G2,IF(ライラック銀行::E2="預金移動",0,ライラック銀行::F2))

借方金額

貸方勘定科目

出納帳の預入金額がある場合、つまり>0ならば相手勘定科目を、そうでないならば"普通預金"を転記する。
IF(ライラック銀行::F2>0,ライラック銀行::B2,"普通預金")

貸方勘定科目

貸方補助科目

出納帳の預入金額がある場合、つまり>0ならば補助科目を、そうでないなら「設定シート」の銀行名を転記する。条件で判断しさらに空白の処理をするのは前述の借方補助科目と同じ。
IF(ライラック銀行::F2>0,(IF(ISBLANK(ライラック銀行::C2),"",ライラック銀行::C2)),科目::$C$2)

貸方補助科目

貸方金額

出納帳の預入金額がある場合、つまり>0ならば預入金額を、そうでないならば引出金額を転記する。ここでも適用が”預金移動”の場合の例外処理をしている。
IF(ライラック銀行::F2>0,IF(ライラック銀行::E2="預金移動",0,ライラック銀行::F2),ライラック銀行::G2)

貸方金額

取引先

取引先を転記する。
ライラック銀行::D2

取引先

適用

適用を転記する。
ライラック銀行::E2

適用

以降はこの行全体を選択しドラッグコピーする。
実際にデータを入力してテストしてみるとこうなる。


出納帳と仕訳帳

出納帳の内容が仕訳帳に反映されている。
預金移動の金額が0となっているが、送金元の出納帳と仕訳では実際の金額が反映されている。

送金元の出納帳と仕訳帳

ここでは振込手数料を雑費として計上しているが、本来なら振込金額と手数料の複合仕訳にしたいところだがちょっとそこまでは自動転記ではできなかった。この後の各仕訳帳をまとめる仕訳帳・総勘定元帳で入力することもできるが頻度と少額のこともあり今後の検討材料としておく。


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