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建築設備士試験 受験経緯から合格まで

建築設備士という資格

みなさんはご存じでしょうか?
建設業界、特にサブコンや設備関連企業に
お勤めの方には認知度が高いかと思いますが
ゼネコンや工務店、ハウスメーカーなどでは
「聞いたことがある」くらいではないでしょうか。

私も受験を考える前まではどのような資格で
取得するとどのようなメリットがあるのか
全く知りませんでした。

なぜここまで認知度が低いのか
また受験者数が少なくマイナー資格扱いなのか
個人的には
難易度に対する資格の有効活用度が低いことが
大きな課題であると感じています。

資格制度と難易度

受験資格は以下の通りです。

最低でも2年以上の設備に関する
実務経験が必要となります。
また建築一式工事の経歴であっても、
全体の中で設備工事に関与した部分を
申告し設備に関する実務経験と
みなすこともできます。

私は基本的に建築一式工事や建築意匠設計の
業務を行っていますが
その一部を設備内容として申告し
受験資格を取得しました。

さて、試験内容ですが
一次試験 学科試験と
二次試験 製図試験があり
このどちらも合格する必要があります。

一次試験は以下の構成です。
 ・建築一般 27問
 ・建築法規 18問
 ・建築設備 60問
  合計        105問
例年合格点は70~72点程度(正答率66~68%)
合格率は30%前後となっています。

二次試験は以下の構成です。
 ・共通問題 11問
 ・選択科目(空調・衛生・電気のいずれか1つ)
  空調 能力表、系統図
  衛生 機器表、系統図
  電気 機器表、単線結線図
 ・共通作図 3問
  空調、衛生、電気それぞれ1問ずつ
例年合格率は40~50%程度
明確な合格ラインはなく、
相対評価で上位40%くらいに
入ることが求められます。

トータルすると20%を下回るくらいの難易度になるため
受験資格ありと考えると
難しい試験であるといえると思います。

私の受験経緯

私が建築設備士受験を考えた理由は2つです。
・会社での個人の業務領域の拡張
・将来的な設備設計一級建築士の受験

私が勤めている会社では意匠設計のみ行い
設備、構造に関しては外注しています。

基本的にはこの流れで問題ないのですが
エンジニアリング業という立場上、
施工受注を前提とした設計業務となります。

そうした中で概算依頼を受け、
図面を作成し積算し見積をしていくのですが
設備についてこちらで設計意図をまとめ
外注へ依頼していくとどうしても
時間がかかってしまうということと、
失注してしまった場合にこの外注費が
持ち出しになってしまうなど問題がありました。

その課題を解決の糸口として
自信の業務領域拡張のため建築設備士の
受験を決めました。

設備設計一級建築については
建築設備士資格を持っていると
受験科目免除を受けられるため
長い目で見たときにメリットがあると考えました。

学習時間と方針

一次試験、二次試験についての
詳しい学習内容については
別記事にて詳しく記載したいと思いますので
こちらでは大まかな学習時間と方針を
ご紹介します。

トータルの学習時間
まずは大体の学習時間ですが
一次試験 2ヶ月間(4月~6月) 150時間程度
二次試験 2ヶ月間(6月~8月) 100時間程度
合計で約4か月間250時間程度くらいです。

どちらも資格学校は使用せず
市販の参考書をベースに学習しました。
後述しますが、
二次試験については講習会が一次試験後に
開催され、それに参加しました。

一次試験 学習時間と方針

例年6月の末頃に行われます。
私が着手したのは4月頃でした。
まずは過去問の収集からということで
当年度用の過去問集が出版されますので
それを購入。

試験元のホームページを見に行くと
過去10年分の過去問が公開されています。
公開されているということは最低限
10年分までは試験範囲であると考え、
メルカリで5年前に発売された
過去問集を購入し
10年分の解答解説を準備しました。

学習自体は購入した過去問のみで進めました。
市販の過去問では年度別または科目別で
掲載しているものしかなく、
傾向を把握するためには
科目ごとの出題範囲ごとに解くことが
効率的であると考え、
過去問を分解し出題範囲ごとにした
過去問集を自作しました。

学習スケジュールとしては

平日 始業前 1時間
   昼休み 30分
   寝る前 30分~1時間
   合計 2時間~2時間半/日

休日 午前中 2時間
   午後  2時間
   合計 4時間/日

日によって出来たり出来なかったりがありましたが
おおむねこのくらいは確保していました。
平日は出張がある際はその移動時間を利用しました。

そして一次試験結果は
建築一般 25/27
建築法規 18/18
建築設備 52/60
合計   95/105

合格基準点は70点でしたので
かなり余裕をもって合格することが出来ました。

二次試験 学習時間と方針

二次試験対策は一次試験が終わってから始めました。

二次試験はとにかく公開されている
情報量が少ないです。
市販されている二次試験対策本はほとんどなく
過去問をまとめたようなものもありません。

私のような仕事で建築を主体としており
実務で設備設計図を書くことが少ない方は
学習の手がかりがありません。

そのため、
日本設備設計事務所協会連合会が主催している
二次試験講習会へ参加しました。

講習費用は25,000円と安くはありませんが
直近の過去問の解説と当年度用途の
予想問題が記されたテキストとその講習を
受けることが出来ます。

学習方針で悩むのであれば出来るだけ
早い日程の講習会を受講することをお勧めします。

学習時間に関しては
一次試験とほぼ同等で
直前に盆休みを挟むこともあり
この期間で集中して取り組みました。

本試験は不安点も多々ありましたが
合格できました。


ここまでが建築設備士試験受験の
始まりから受験対策です。

最後に

一次試験、二次試験対策の詳しい内容については
今後の記事で紹介したいと思います。

他資格に比べ
独占業務がなく、立ち位置が努力義務ですが
今後、設備設計者不足は
意匠構造より遥かに深刻なると思われます。

建設業界で生きていくうえで
重要性が高まると(勝手に)期待していますので
この記事が
誰かの受験の後押しになれればよいと思います。

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