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「進化」と「工夫」と「知恵」、その先にあるもの vol.2

「自動販売機でパンを売る老舗パン屋さん」

と聞いただけで、ご時世柄、多くの方が納得する知恵と工夫であることは間違いないと思います。恐らく苦渋の選択であり、究極の知恵であり、思い切った決断であったことでしょう。



本当に本当に大変なことでした。立ち向かい今も走り続けているお店の皆さんに心からエールを送りたいと思います。うかがう機会がありましたらまた買わせていただきますね。

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無機質の中にある「ぬくもり」
 

6台の自動販売機の横にはベンチが2つ


駅から徒歩15分位でしょうか。生活道路の片側一車線と路地の交差点にひっそり佇むパン屋さん。照明や人の気配がないので、検索でもしなければ通りすぎてしまいます。工場も兼ねているのか約30坪強の敷地に年期の入った白い建物が、存在感を醸し出しています。



グーグルマップに記されたパン屋さんの名前、でもさ、人いないけど、、、ひょっとしてご時世柄の閉店、、、?と勇気をもって奥に向かうと、ずら~り「自動販売機」。速攻検索して初めて一連の事情がのみ込めた次第。



めちゃくちゃ安心した~!よかった。。。



自販機左にはベンチが向い合せで2つ。「あっ、ここ、やっぱりパン屋さんで間違いない」。ベンチが安心のサインね。



はたして自販機の中には… 
しっかり手作りパンです!!

食パンが1レーン一斤ずつ、ずら~り!


お惣菜のパン、おやつパン、たくさんです!!


無機質に見える自販機の中に、近隣の人たちの食卓をはじめ、地域の働く人達の胃袋をしっかり支えてきたパンがたくさん並んでいました!



オリジナルのエビアボガド、キャベツフィーリング、ロースとんかつ、プリプリえびカツ、定番のチョココロネ、メロンパンなどなど。聞いただけで美味しいそうじゃない?恐らくその種類15以上!



このオリジナルのパンたちを見ただけで、みんなこのパン屋さんが大好きなのが一目瞭然なのです。


「信用」が場所のエネルギーを支えている


何を買おうか迷っている私を尻目に、店横に車を停めて買い来た人は3組ほど。自販機前を行き来し、慣れた様子でお金を入れて、パンを片手に足早に去っていきます。3組ともお仕事服の人だったから、きっと常連さんたち、お昼ご飯ですね。




建物の周囲に人影はなく、遠目に自動販売機が6台だけ。知らなければ立ち寄らない場所。通い慣れていて、そこに安心と美味しさのベンチマークがあり、しかもずっ~と長く長くそれが存在していて、それは現在進行形



ただパンを買うだけならコンビニでも買えるでしょうが、無人の自動販売機に行っても間違いなく期待値を上回る満足感があることが分かっている。




当日作った、新鮮なパンを自動販売機で売っている。人がいなくても、信用が培ったエネルギーが、無人の自販機の中にはギュッと詰まっている



POPもチラシも宣伝ツールは一切ありません。みんなが分かっている、それが凄いなと!



信用って「良質なエネルギー」なんだなと思いました。目に見えないけど、信頼関係のある優しいエネルギー。自販機左横のベンチと一体になって、場の会話が聞こえてくるようでした。


老舗だからこそ目指せる新しい形


立て続けに来店した3組のお客さんは、急いでいたように見えたので自販機での購入はきっとそれでそれで重宝しているのかもしれません。思いもよらない新しい形。



滞在時間わずか30~40秒。購入点数は減るでしょうけれども、急ぐ時は便利な自動販売機。一方、沢山買いたい、みんなで買いたい、選ぶ楽しみを優先したい時は、対面でお会計が有難いですよね。



このパン屋さんが、今後どのような形で継続していくのかはわかりません。自販機だけのぬくもりは寂しい気がしますから、時が来たらまた対面販売ができるようになるといいな、と思います。



そして案外、老舗ならではの自販機ビジネスの可能性にも気が付いて、両立なんてことになるかもしれません。それは地域のブランド、老舗だからこそ選択できるラッキーかもしれない、とも思ったりするのです。



末永く美味しいパンを楽しみにしています!!


前回に引き続き長文にお付き合いいただきありがとうございました!


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