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「貧乏ゆすりと言わないで」17.両側視床下核刺激術 入院日

コロナが蔓延していた時期と重なっていたが
心配していたPCR検査は全く問題なく
ついに入院の日が来た
喜美はひとりでスーツケースをもって
病院到着後受付を済ませた

いつもと同じ風景なのに、
どこか違って見える

病室のあるフロアにあがり
ナースステーションに寄って入室した

個室を希望していたが四人部屋だった

先に入院していた二人のうち
喜美の隣の人は一昨日くらいに手術だった様子で
もうひとりは明日退院と言っていた
このフロアは脳神経科の外来と連携しているフロアなので
皆さん何かしら
脳神経に関連した病気で入院していると思われた
 
十二時になり昼食が配られた
病院で食べる初めての食事
緊張して喉を通らないかと思いきや
しっかり食べることができた

午後二時半、主治医の神経内科の医師が.
研修を引き連れて病室に入ってきた
いつものトーン高めの声で
「喜美さん、どうですか~。」と言いながら、
「はい、じゃあ一応確認ね~。」
と、指ぱちぱちとか
手ひらひらとか
体幹が弱いとか
いつものパーキンソン症状の確認をして、
「明日頑張りましょうね!」       
と言って病室から出て行った

その後、病室担当の医師ふたりが来て
同じように喜美のパーキンソン症状の確認をし、
次に看護師から血栓症の説明があった。

血栓症の説明は実はとても怖い話だった
要はエコノミークラス症候群と同じで
長時間ず―――っと同じ体制でいると
血栓症をおこす可能性があるため
できるだけ足指を動かすことが大事で
手術後一日はマストで機械の空気マッサージをするとのこと
それをしないと、静脈血栓症を起こしてしまい
最悪死にいたるということらしい。

手術は初めてだからそんなことも知らなかったし
話をききながら怖くなった
血栓症を予防するために「弾性ストッキング」を
手術中着用することも初めて聞いた


弾性ストッキング なんだかかわいい♡

そういえば父が前立腺の手術をしたとき
この靴下履いていたことを思い出した
その時は
なんて可愛いソックス履いているんだろう~
と思っていたけど大事なお役目をはたしているソックスだったんだ
と喜美は神妙な気持ちになった

その後は執刀する脳神経外科の主治医、
麻酔科の医師、手術に立ち会う看護師
等々入れ替わり立ち替わり病室に来てくれて
ちょっとした賑わいになった。

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