「貧乏ゆすりと言わないで」19.両側視床下核刺激術(DBS手術)当日②
やがて手術も終盤になり、
切った皮膚を縫い始めたようだが
麻酔が切れてきていたのか
その作業の痛みが襲ってきて
耐えきれなくなった喜美は
「イ、イタイです!」
と叫んでしまった。
「じゃ、麻酔して。」
と誰かに指示を出し、
その声と共に縫合と、注射針とで
さらに痛さが増してきた
「お願いだから
早く麻酔が効いて・・・」
と念じながら痛みに耐えていた
手術が終わった時は19時を既にまわっていた
やはり10時間以上かかっていたようだ
体感では2~3時間と言ったところだった
病室に戻る時にストレッチャーの上で
急に気分が悪くなり吐いてしまった
局所麻酔の薬剤が体質に合わなくて
十八歳から患っていた内視鏡検査の時も
麻酔型の検査が終わった後は
必ずと言っていいほど気分が悪くなり
吐いていたのだった
そのことを言っておけばよかったと思ったがあとの祭り
吐いたものにまみれながらそのまま病室へ
長男の優斗が来ていて、
「大丈夫だった?頑張ったね。」
と優しく声をかけてくれた
その顔を見てようやくほっとした喜美は思いきり泣いた
手術して良かったのか
しない方が良かったのか
その時は頭のなかでいろいろな考えが渦巻いていた
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