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辛さでは脅せない湖南人

 私の夫は中国人です。

 中国人と聞くと、どんなイメージがあるでしょうか?

 私は初めて会った時、夫は日本語が堪能だったので全く中国人だと気が付きませんでした。

 名前を聞いたとき、確かにあまり馴染みのない名字だなとは思いましたが、まあそういう名字の人もいるだろう程度にしか考えていませんでした。

 自分は中国人だ、と夫から言われたときは、中国短期留学した頃を思い出し、楽しい思い出と共に懐かしさがこみ上げてきました。

 それからお互いの話をしたり、聞いたりしてデートすることになったのですが、夫は付き合う前に「ネギ油」を作ってきてくれました。

中国語では「香葱油」といい、本来なら「涼皮」という料理につけるものなのですが、それをさらに辛くした油だそうです。


夫が作ってきた香葱油

辛いものはそこまで苦手ではなかった私は、ありがたくいただきました。

これは餃子につけても美味しいし、鍋にいれても美味しいし、何にでもかけて食べられるのだそうです。(中華料理に特に合うと、今なら思います)

 夫は辛いのが大好きなので、職場の仲間にもこの香葱油を振る舞ったことがあるのだそうです。

 味は結構な激辛です!
辛いのが苦手な人はきついかもしれません。

 私も辛いのがすごく得意というわけではありませんでしたが、この香葱油は独特な香ばしい香りがして食が進みました。

 中華料理に使う香辛料を沢山使っているそうです。

 夫は辛いものが大得意。

 日本で売られている、いわゆる「激辛」系の商品を食べてもあまり動じません。

 唐辛子をそのまま食べても平気です。

 夫からすると、日本の「激辛」は「普通」なのだとか。

 夫は湖南省出身です。湖南省は、辛い料理が有名だそうです。

 中国の辛い料理といえば、四川料理を連想すると思いますが、四川料理は陳建一さんが日本に伝えたから有名になっただけで、中国のなかでは一番辛さに強い地域というわけではないそうです。

 中国系YouTuber楊小溪さんの『中国大陸大全』によると、こんな文章があります。

湖南料理は中国八大菜系のひとつで、その辛さは四川料理以上! 四川は“麻辣”でシビレと辛さがあるのに対して、湖南は「香辣」で、味が濃くて辛いのが特徴です。
「四川人は辛さを恐れず、湖南人は辛いもので脅すことができず、貴州人は辛くないのを恐れる」という言葉があります。四川料理、湖南料理、貴州料理が中華のなかでもとくに辛いということです。

楊小溪『33地域の暮らしと文化が丸わかり! 中国大陸大全』③華中地区 湖南省 p.111より

 夫に聞いたところ、中国のなかで一番辛さに強いのは、貴州省のようです。

でも、湖南料理も十分辛そう!

 ちなみに、私が学生時代に留学したとき、一度だけ四川料理屋さんでご飯を食べたことがありました。

結構な辛さで全部食べられませんでした。

 それよりも辛いって、一体どういうことなんだろうと考えてしまいます。

 義理の母に、湖南料理はどんなものがあるのか聞いてみたことがあります。

すると、義理の母は

「全部辛いよ」

 と言っていました。

 私が夫の実家に行くと、麻婆豆腐を出してくれたことがありますが、私のために辛さを控えめにしてくれています。本当は、もっと唐辛子を使って辛くするようです。

 夫の家族は、みんな辛さに強いです。義理の母は昔は夫よりも辛さに強かったようです。(日本での生活が長くなって、今は辛さに弱くなってしまったらしいです。)

 どうやったら辛さに強くなるのか聞いてみたら、

「小さな頃から、親が少しずつ辛いものを食べさせるんだよ。」

と言っていました。

 うちの息子も、もう少し大きくなったら少しずつ辛いものを食べさせようと、夫婦で計画しています。

ちなみに、夫は山葵やカラシは苦手です。唐辛子系の辛さ限定の強さみたいですね。


今回引用した本は、こちらです。
楊小溪『33地域の暮らしと文化が丸わかり! 中国大陸大全 』









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