一個のリンゴが私の命を助けた!!
この時の事情は私には全く記憶がない。
ずっと後から母から聞いた話です。
3歳の頃、私は“”肋膜“”という病気で医師にかかっていました。
ある朝、あまりにも息遣いが荒くなっていたため医師に往診を依頼。
その医師がかけつて来て、私を見るなり両親を別室へと呼び「いつ息を引き取ってもおかしくない状況である。欲しがるものは何でも与えてやって」と言われたそうです。
その時時私が寝かされていた部屋は、今ならリビングと言われるようなところでした。その部屋の天井からは神棚が吊るされていました。
{おとっさん}と呼ばれれていました。その神棚には一個のリンゴが祭ってあった。
その下で寝かされていた私が、「りんごちゃん、食べる」と突然大きな声で言ったそうです。母親は、「ああ、何にも食べてないもんな、おなかすいたなあ」とりんごを手にとり洗いに行こうとしました。
その時に、居合わせた医師が「洗わなくてもいいから、食べさせてやりなさい」とそのままでもいいから食べさせてやれと言ったそうです。
命がないかもしれない、最後に好きな物なら何でもいいからといっていましたから、洗うまでもない早く食べさせてやれという事なのでしょう。
この世で最後の食べものになるかもしれないのだから早く食べさせてやれ!ということだったのでしょうね。
母は手に持っていたリンゴを、着ていた割烹着で拭いて私に渡すと、私は「サクッ」と音をさせて美味しそうに嬉しそうにリンゴにかじりついたそうです。
リンゴ一個をしっかりと食べた後、みんなの心配そうな顔が並ぶなかすやすやと眠った。そのまま、一晩を過ごして、翌朝目覚めるや否や「おなかすいたあ!」と大きな声で言ったので、周りにいた大人たちはびっくりしたそうです。
そうです、リンゴ一個が私の命を救った瞬間でした。その後、日を経るごとに元気になっていったそうです。
しかしです!リンゴに命を救われたにも拘わらず私はリンゴが嫌いです。
そうなのですが、不思議なことに病気になると「リンゴが欲しい」と言っていたそうです。それは、70歳を超えた今に至っても同じです。
普段はリンゴは食べないのに、風邪や体調不良になるとリンゴが食べたくなって買ってきて食べるのです。
それで、元気になるのですから変ですね!何度もリンゴに救われている私です。
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