手と手を

貴方は大層生きやすそうですね。

貴方の歩いているその道は、貴方が殺した柔らかい死体で溢れているから。

それを見もせずに。嗚呼身体が軽いと呑気に。踏みつけて踏みつけて歩く道。

貴方を哀れだと思う人は誰一人としていないでしょう。

なので私が貴方を心から哀れだと憎みます。

おまじないと言えば可愛らしい。
文字に起こせば〝お呪い〟となります。
人の心を壊すのは何時も人です。

 自信を不幸に陥れた人間を不幸へ誘うのは虫唾が走るなどと思いますか。

私は耐えられなかった。

貴方の周りの大切な人が貴方のせいでどうか不幸になって。貴方もそれで苦しんで。

効いたかな。
効いたかな。
…………
効いたみたい。

命なんて要らないの。
毎日毎日暗い暗い闇に堕とされて。
息が出来ない。苦しい。

良かった。良かった。
不幸の音が確かにあの時貴方から聞こえたの。

嬉しかった。

嬉しかった。

何時でも何処からか甘い香の匂いがする。

ひんやりとしたなんの感情もない。
ほのかに肩の力が抜ける様な。

黄泉の国へ導く蛇が持ってきた果実の香り。

私はすごく優しいよ。本当なの。