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18thショパンコンクール イチオシコンテスタント【予備予選感想】

待ちに待った、ショパンコンクールウィークがやってきました!

5年に1度の開催という、ただでさえ勿体ぶり感マックスなこのコンクール、今回はCOVID-19の影響で、前回から待たされること実に6年!チョ・ソンジンが優勝したときに生まれた子供はもうすぐ小学生。当時三十路に突入したばかりだった私に関しては、四十路がそこまで見えてきてしまいました。白髪も増えたな……

ライブ配信を見るようになったのは2010年。聞きながらメモを取り、この人は残りそうだなーなんて予想しながら見るようになったのは前回大会から。その時のメモがあまりに乱雑で、後から読み返そうにも解読不能な箇所が多々!
ということで、今回はサラリーマンらしくテキスト&エクセルを使って、ちゃんと残せるものにしようと思い立ち、note開設に至りました。

それぞれの演奏について感想を述べるにあたっては、本来は私のピアノ歴や音楽観等々について前置くべきだと思うのです。一人一人のコンテスタントに敬意を払う意味でも。
が、なんせ時間がない。え、今?日本時間で10月3日の朝の6時です。これから寝るのです。あと半日後にはSTAGEⅠが始まるのです。

なので、諸々はとりあえず置いておくとして(後で大いに編集をかける予定です)、STAGEⅠスタートを超目前に控えたこのタイミングで、予備予選で特に素晴らしい演奏をしていたコンテスタントについて列挙してみたいと思います。

計2回(ライブ配信時と結果発表後)、聞いた上での感想です。
※STAGEⅠ出演予定順

Xuanyi Mao / China

全体的に明るめな表現をするコンテスタントが多い中国勢の中で、激情や怒りを感じさせる陰の表現が格別。生まれ持ったセンスを感じる。テクニックのレベルも高く、ほとんど崩れることがないのに、同時に伸びしろも感じさせる。もっと聴きたいし、ショパン以外も聴いてみたい。

Arsenii Mun / Russia

絶望、嘆息、諦念……といった、東洋人やラテン系の演奏家が比較的苦手とする表現が非常に見事。言うなれば、荒涼とした大地の音。世界観はダークだけど音は湿っぽくなくて、湿度が低くてよく響く、ヨーロッパの音。あまりに魅力的で、息をつめて聞き入ってしまった。

Szu-Yu Su / Chinese Taipei

とにかく上手い!おそらく万人に好感度の高い演奏。
横の流れが非常に自然で、聞いていて本当に気持ちがいい。表現はオーソドックスだけど教科書的ではなく、自身の世界観がきちんと構築されている。歌うけれど感情に流されすぎず、盛り上がる箇所も決して荒々しくはならず、あくまでも自然に、気持ちよく駆け上がってくれるのね。ヤマハと相性がいいのか、音が太くてピアノがよく鳴っていた。
ピアノという楽器をしっかり自分のコントロール下に置いていて、どう動かしたらどういう音が出るか、自分の出したい音を出す為にはどうしたらいいか、手や体の使い方を完全に把握しているんだと思う。

Zijian Wei / China

他の人と違うピアノ使ってるんじゃない?いや、ホールが違うんじゃない?石造の建物?教会?ってくらい、響きが完全に別格。何コレ...って口に出てしまったくらい。
低音から高音まで全ての音が、豊かに、縦にも横にも広がる。圧力のかかった音、軽く明るく響く音、激しい音、寂しい音、悲しい音、温かい音、甘い音。全ての感情が音量じゃなくて、音質の違いで表現出来ている。全体を通しての表現も大変豊か、かつとても自然。音楽が流れていく。たまに聴こえてくる内声も、奇をてらうところがなくセンスがいい。すごい才能。

Andrzej Wierciński / Poland

清廉潔白で上品で高音が澄んでいる。ノクターンがあまりにも美しくて、泣くかと思った。というか泣いた。清廉だけど陰の部分もしっかり表現できるコンテスタント。エチュードを無駄に早く弾かないところも好印象。

Hyounglok Choi / South Korea

夢のある音、表現、世界観。美しい弱音、ふわり、うっとり。イマジネーションの世界へようこそ。私はこういうのに弱い……
テクニックも非常にハイレベル。是非他の曲も聞いてみたい。

Aleksandra Hortensja Dąbek / Poland

陰のショパン。音が太い。緩急、満ち引き、緊張と弛緩みたいなものが、いやらしくなく自然に聞こえてくる。こういうのってセンスなのかなぁ。練習で何とかなる部分もあるだろうけど、「自分の出したい音」と「今自分が出している音」にどれだけの差分があるのか、それをどうやったら埋められるのか、等を冷静に分析できる判断力みたいなものが必要だよな……などと考えさせられてしまった演奏。
引き込まれてしまって20分強があっという間だった。

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