置いてきぼりの一人っ子。


私は、鉄格子の中にある温室で育った一人っ子です。

なぜ鉄格子かって?
父と一緒にいればどんな世界だって見せてくれました。

夜の街、博打場、そんなところにだって連れて行ってくれました。
なんて父親なんだろうか。でも、世の中にはこんなに怖い世界だってある。悪い人間はいっぱいいる。そう言うのも見せてくれました。

私が小学校一年生ぐらいの時に、スーパーでお菓子を買おうと選んでいました。うちの父は、好きなものは好きなだけかっていいよ〜と甘やかしていました。でも、私は気づいたのです。隣に4〜5歳の男の子がいました。その子はと言うと。母親から、お菓子は3つまでって言ってるでしょ選んで返してきなさい。と怒られているわけです。私は、そうか、それが普通なんだと、無意識に悟りました。うちは大体おかしい。金魚すくいに行けば、ポイが10個ぐらい出てきて、一匹も取れなくても、袋に好きな金魚を入れて持って帰ることができた。

うちの父の顔面でもよく得をする。
うちの父は、強面で、根は優しくてお茶目なんだけど、そのギャップが凄くて、ある日、業務用のパッケージを販売するお店の福引で、外れを引いたはずなのに、パーティーセットをもらったのだ。父は、いや、ハズレでしょう?いいよティッシュで。と言うのに、いや、大丈夫です。店員さんは怯えて大きな箱をくれました。そんなこともありました。

小学校の運動会では、おのおじちゃん怖い。。。と指を刺されることもありました。結構可愛いところあるんですけどね。うちの父。

学校生活でも、一人っ子は何もできないので、下に兄弟のいる子がお世話をしてくれるんです。

それはいつまで経っても周りがお世話をしてくれる環境が続きます。

しかし、温室での生活は長くは続きません。

まず、父が亡くなると、自分で生きていかないといけない!と言うきもちが一層強くなります。でも、それとは裏腹に、実際はいろんなことが自分ではできません。


まず、田舎に住んでいるで、公共交通機関はほぼ必要がないので、ほぼ全部の公共交通機関に一人では乗れません。
わからなかったら聞けばいいじゃないの。と思うかもしれませんが、
聞くことも苦手です。なので、人生での難関は、就職活動です。
まず切符は、みどりの窓口でしか買えません。行きに乗れても帰りは、
どっち方向に戻るかわからないので、往復チケットを買うと、乗り場の読み方もわかりません。急いで、母に電話して聞きます。その場に母は、いないのに。苦笑もう、21歳なのに、いろんなことが出来ません。凄く恥ずかしくて惨めでした。周りは、飛行機に乗って移動しているとか言うのに。。。
「もう飛行機のチケットとった?明後日、東京でしょう?」と周りの友達が話しているのを聞くと、もう遠い存在の人たちなんです。突然。

でも、それでも、一歩勇気を出して恥をかいてもひとつ一つやっていくしかないんです。

どれだけ心細くても、電車の中で一人こっそり泣いても、その一歩を出すしかないんです。


書いててとても恥ずかしいけれど、この経験があって、今、私は、どこに行っても多少恥ずかしくても自分が行きたい場所、やりたいことのためには行動ができるようになりました。

一人っ子は、親に、まだ何もできないかのような言葉を投げられます。


でも、大丈夫、できるんだよ。自分が知らないだけで。


さぁ。
できなくてもいい。
恥ずかしくてもいい。
まずは、何から始めようか?