手放す
世界の妊娠の半数はUnexpected Pregnancy だよ。
と言ってくれたのは
イギリスで公衆衛生を勉強している姉でした。
(選ばれたのは、綾鷹でした。風)
これは私たちにとってもそうで
妊娠がわかったタイミングは
「今子作りしよう!」
と思っていたわけではなかったことは
明白でした。
そもそも妊娠はコントロールできないもの
私たち夫婦は共に医療者です。
私はがん専門病院の婦人科病棟に勤めていたこともあって
日々、苦しいながら不妊治療とがん治療を天秤にかけ
「子どもが欲しい。」
と、なんとか子宮温存を望む患者さんと
出会っていました。
彼女たちを見て思っていたことは
「自分の子どもを欲しいと思うことは
ごくごく当たり前の、
人間に自然に備わっている本能なのだ。」
ということです。
もちろん様々な理由から子どもが欲しいと
思わない人もいらっしゃると思うので
それを否定したいわけでは全くありません。
そんなわけで私たち夫婦は
「子どもが欲しい」
と思ったタイミングで子どもが来るわけではないだろう
そんなコントロールできるものではない
という前提認識が同じでした。
コントロールを手放すということ
そんな中妊娠がわかり
嬉しいという気持ちの反面
どうしよう、や、戸惑いの
ambivalenceな気持ちがありました。
受け入れるまでに大きな困難はなかったものの
一番腑に落ちた考えは
「この子は、今育てたい、今産みたい、今子どもが宿って欲しい、と思った私たちのもとに来たわけではなく、
この子自身が、今生まれたい、今いきたい、と思って、今、私たちの元に来たのだな。」
というものでした。
私はいかに今までの人生を
コントロールしようとしてきたか
抗ってきたか
そんなことを、その生命の重さが
教えてくれているようでした。
そう考えてからは不思議とすーっと
コントロールしたいという
気づきもしなかった気持ちを
手放すことができたように思います。
今も、ambivalenceな感情が生じることはあるけれど
それもこれもまるっと
抱きしめていたいと思っています。