御歳99才の私のおばあちゃんが死んだ。
おばあちゃんの顔が曖昧だ。思い出せない。
でも、私の中でのおばあちゃんの象徴である、カルキの抜けていない水で作ったお味噌汁の味や、年越しの寒い時期の高級な羽毛布団にくるまってもくるまっても尚あったまらない手足の先や、オニヤンマを追いかけて走った砂利道、洗濯物を畑まで干しにいく丸まった背中、些細なことでずっと笑いの止まらない私と母親とおばあちゃんの酸欠になりそうな笑い声、おじいちゃんの介護のための簡易便器や吸引機の音、お仏壇からする線香の匂い……みたいなものはいくらでも思い出せ