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super reflection[ver.1.1]稽古場日記

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2022年11月26日(土)・27日(日)に、神楽坂・セッションハウス「ダンスブリッジ2022 3つのバーチャルリアル」企画にて上演される、中屋敷南による『super refle… もっと読む
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2022/11/25(金) さてどちらが本物なんだろうか

本番の前日。明かりが入ったことで、前回のスタッフ見せの時より随分と作品の印象が変わっていた。 稽古場で見ていた時までは、いつまでも見ていられる「インスタレーション作品」だと思っていたものが、見た感のある「舞台作品」に化けてきている。やはり構成力、最後の最後での作品の調整力がある作家がこの中屋敷南という振付家なのかもしれない。振付も変わっていたのでダンサーの対応力の賜物でもあると思う。 「作品は、空間と照明と音楽が入った時に初めて完成するようにつくらないといけない」なんて聞い

2022/11/22(火) 画面から飛びだしてくる

今日がスタッフ見せ、ということはもう今週末は本番。 初めて本番のスペースで、カメラをバトンに取り付け、スクリーンにリアルタイムで真俯瞰から捉えた映像をプロジェクター投影していく。 彼女は身体で柄をつくっている、と思った。今までダンス作品を見てそんなことを感じたことはなかったが、彼女は確実に心地よい柄をつくりにいっている。 そして、体験として「すごく画面から飛びだしてくる感じのある作品に仕上がったな」と思った。 良くも悪くも、どう見えたいか、どういう感想を持って帰ってほしい

2022/11/12(土) ちょっと一回ほどけよう

衣装を合わせる日。髪の毛や下着についても細かな意見が交わされる。この日も、いい風が入ってくるとても日差しの気持ちいい稽古場だった。 インスタレーションではなく今回はパフォーマンスなので、「見た感」を出さないといけない。それは私のしごとなのかなと思う。と中屋敷南さんが言っていた。 話を単純化してしまうようだが、なんとなく稽古を見ながら「見た感とは、その一つが動作の初速なのかもしれない」ということを思って言ってみた。初速の速い動きは、等速のゆっくりな動きよりも、ダンス感がある。

2022/11/10(木) これは完全に形の話なんですけど

「豆苗の上に低い天井があって、こうやって(曲がって)生えちゃった感じ。切ない感じ」「はい、触れられたら豆苗〜」 振付家はいろんな言葉で動きの質感を伝えたりするが、中屋敷南の場合お手本のような動きを繰り返し見せるでもなく、何度も踊らせてみるでもなく、 こういう言葉を使って絵をつくっていくんだなと。いろんな言葉が出てくる。今日の稽古場は畳ということもあって、なんだかいろんな匂いのある空気があったように思う。 再演ということもあり、振付を再考しながら構成をほぼ作り替えているようだ

2022/10/16(日) 感覚と認知と表現の交差点

この日はちょっと狭い稽古場でのいつものクリエーション、という空気。 稽古場のちょっと変な位置にベタベタ養生テープで貼り付けられたカレンダーが設置してあって、絶対にその位置につけたかったんだろうなという意思を感じたりした。 この日はメンバー間での会話も多く、前回稽古の映像を見て振り返ることもあって、3回に1回くらいしか稽古場に顔を出さない私でも今、全体の創作過程のどこにいて、お互いに何を確認しあっているかがよく分かった。 ちょっと趣向を変えてこの日に出てきたそれぞれのセリフた

2022/10/12(水) ゆったりもっちり境界のなさ

この作品の基本になっている点対称のコンタクトワークは、「相手にどこか触られたら、もう一人の人に同じことを伝授していく」いわば身体での伝言ゲームのような形で成り立っていて、やってみようとするととても脳を使う。それどころかそれだけではとてもゆっくりだし、あまり見ていて綺麗なフォルムとも言い難い。でもそれを中屋敷南は選んでいる。 「振付」は言わばどう見えるか、どう見られたいかの自意識の塊で。例えば悲しくて泣くはずなのに、悲しいと見られたいから泣く、というような逆転が起きてしまうも

2022/09/09(金) ただ稽古場にいる存在として

この日のお茶会で11月の本番のことを聞く。あぁまたあの作品が再演されるのかととても楽しみに。 不思議なただ稽古場にいる存在として、何か書かせてください、多分積極的に動いたり写真撮ったり映像撮ったりはしないです。と相談して、ちょっとやってみましょうと言っていただいた。 そこで早速作品について何か書けないか考え出す。南さんが以前にあげていたこの作品のテキストはこうだ。 タイトルになっている「スーパーリフレクション」って、なんなのだろうか =リフレクションを超えたリフレクション