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読書note

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記事一覧

読書note:『決定版 三島由紀夫全集』第26巻 評論1〜その1〜

7月1日にnoteをはじめて、この記事がちょうど100記事目。記念すべき100記事目に、作家・三島由紀夫氏に登場してもらおう。 三島由紀夫は1945年(大正14年)1月14日生まれ。ということは、昭和元年に1歳、昭和20年に20歳となる。大正の生まれだが昭和とともに生きた人である。 亡くなったのは1975年(昭和45年)11月25日。 さて、この秋はなんとなく、三島由紀夫に触れてみようと考えた。 何を読もうかと書店に並ぶ新潮文庫のオレンジ色の背表紙を眺めては見たものの、

読書note『皇帝のかぎ煙草入れ』ジョン・ディクスン・カー

『皇帝のかぎ煙草入れ(原題:The Emperor's Snuff-Box )』は、アメリカの推理作家ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)が、1942年に発表したミステリーで、彼の代表作のひとつと言われる。 アガサ・クリスティーも称賛したそうですよ。 お話はというと、 ネッド・アトウッドと離婚したイヴ・ニールは、向かいの家に住む青年トビイ・ローズからプロポーズを受けて婚約する。 一方、ネッドはイヴのことが忘れられず、まだ持っていた合鍵を利用して夜中

読書note『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティ

オーエンと名乗る人物からの招待を受けて、英国の小さな孤島「兵隊島」に8人の男女が訪れる。しかし屋敷には執事夫婦しかおらず、オーエンの到着が遅れることを彼らは執事から伝えられる。 招待客が夕食を終えたのちに、かけられたレコードから招待客と執事夫婦をあわせた10人の罪を告発する声が流れる。 孤島に集められた10人が順番に殺されてゆくアガサ・クリスティのミステリー『そして誰もいなくなった』(原題:And Then There Were None)を久しぶりに読んだ。ハヤカワ文庫、

読書note『検察側の証人』アガサ・クリスティ

過去に別アカウントで投稿した記事を、加筆修正して改めて載せています。 アガサ・クリスティの戯曲『検察側の証人』を読む。若かりし頃に読んで以来で、ずいぶんとご無沙汰でした。 殺人事件の犯人として逮捕された青年。彼のアリバイを証明してくれるのは妻だけだった。しかしその妻は検察側の証人として法廷に立ち、夫に不利な証言をする。なぜ彼女は検察側の証人として立ったのか。このあと二転三転のどんでん返しが読者を待つ。 『検察側の証人』は1953年初演。全三幕。三幕目は二場に分かれる。弁