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史緒ちゃんと佐藤さん

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原案 莉紗  小説 八朔 生き方の全く違う女子が出会った話。
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#女子

佐藤さん 03

佐藤さん 03

シオちゃんは何も言わない。いいね欄に、【リル】への悪口とも苦言とも言えないような、ツイートが並ぶだけ。
【Shio】ちゃんの方は、今日も加工された自撮りが載っている。一緒に写っているのは、彼女と同じコンカフェで働く、同じ【Uあい】に参加してる地下アイドルだ。リップがよれてるのに、直していないようだ。

私はなんとなく【リル】の曲を聞いていない。Youtubeにアップされている動画のコメント欄は軒並

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史緒ちゃん 02

史緒ちゃん 02

ウイハがとうとう燃えた。あのダイエットサプリのステマしてて、燃えないわけがない。
【Shio】ではないアカウントで、あたしはウイハのことを叩いている人の呟きにハートを飛ばす。【しゅがーちゃん】と連絡を取ったこのアカウントは、こういう時のために使うのだと、前から決めていた。
本当はこんなアカウントは、【しゅがーちゃん】のようなタイプと繋がらないほうがいい。住み分けはちゃんとするべきだと思う。
【しゅ

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佐藤さん 02

佐藤さん 02

人生で、どこで決まるのだろう。
私はシオちゃんのアカウントを見ながら思う。

この前二人で食べたパフェと、シオちゃん。この写真を撮ったのは私だ。
キラキラしたフィルターは、後からかけたに違いない。
あの日、私の目の前にいた彼女と違うのは、どこだろう。
肌の白さ。目の大きさ。顔の小ささ。どこを探しても、見つかりはしない。
きっと加工はしている。でも、それを指摘されるようなあからさまな感じはない。

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史緒ちゃん 01

史緒ちゃん 01

リルのライブの日に待ち合わせたのと同じような姿勢で、彼女はスタバに座って待っていた。
すっと伸びた背中。無駄な肉のついていない身体に、今日も彼女のシンプルできれいなピアスをつけている。シルバーの細い線に、コットンパール。上品って言葉をそのままそこに置いたような感じだ。
スマホを見て何か打ち込んでいるようだけど、何を見ているのだろう。

あたしは彼女のことをほとんど何も知らない。
惰性で開いていたツ

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佐藤さん 01

佐藤さん 01

こんなに楽しい夜は初めてだ。
ファミレスのトイレの鏡を前に、私は深く息を吐く。短い髪の毛を掻き上げる。汗で湿った髪の毛なのに、あまり不快だと思わない。
「はぁ」
短い呼吸がまた、零れる。
メイク直しと言って席を立ったのだから、メイクを直さなくては。私はカバンから小さなポーチを取りだす。簡単に汗を取って、ファンデを薄く塗り、眉毛を描き足す。メイクの途中。鏡の中に平凡な20代の女がそこにいる。名前と一

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