パラレル・特急

 電車に乗っていて、別の電車と並走している時、異世界を垣間見たような気持ちになる。
 つり革にもたれて韓ドラを見ている人、ゲームに熱中している人、読書に没頭している人、口を開けて寝ている人。ありがちな光景のはずなのに世界を構成する数値が1目盛り、違っているような不思議な感覚。
 外をぼんやり眺めている女性と目が合う。こんなにも近くにいるのに確かめようがない。
 パラレルワールドが近寄って、追い越していく。