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話はよく分からないが漆黒のガンマンがかっこいい『エルトポ』

1970年メキシコ映画。アレハンドロ・ホドロフスキーが監督した異色のウエスタン。

晴天の砂漠。
真っ黒い衣装に身を包んだ細身のガンマンが馬に乗っている。
この映像がとにかくかっこいい。
そして現れるのは血の海と化した村。家畜も人間も惨殺されている。血の赤が鮮やかで美しい。
ならず者たちを倒したエルトポはそこで拾った女と再び旅に出る。
それから、エルトポは最強になるために4人の凄腕ガンマンを倒すという話になるのだが、なんでそんなことになったのかは説明されない。唐突にそんな話になっている。でも、それがこの映画の魅力でもある。神秘的なものは説明されないから神秘なのだ。映像から受けるインプレッションを素直に信じるような見方がおそらくこの映画に合っているのではないかと思う。

4人のガンマンもコミックに登場するような個性派ぞろいで、一度見たら忘れられない強烈なインパクトを放つ。決闘シーンも見ごたえ十分だ。

後半はなぜかエルトポは障害者の味方になって大道芸で金を稼ぐという、また唐突な展開なのだが、これはこれでちゃんとひとつのコメディに仕上がっている。

途中に挿入される見出しからすると聖書をもとにされているようにもとれるのだが、どの辺が聖書なのかはよく分からない。

私は物語を解釈するのは諦めたのだが、映像のかっこよさやキャラクター造形については忘れられない作品になった。漫画みたいな強烈なキャラクターを見てみたい人には断然おすすめしたい作品です。


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