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合コンで正直な人は本当の正直者

大学の時に仲の良かった先輩がいた。青学の人だった。週1ぐらいで会ってた。飲みサーで大暴れしているタイプの先輩だったんだが、とても繊細でネガティブな人だった。彼は口癖のように「合コンにだけはいくなよ」と僕に言っていた。彼はその後証券マンになって結構合コンをすることになるが、そんな彼曰く「合コンってのは男のスペックしか見られてないから、えげつないんだ」とのことだった。まあそんなもんだろうなと思う。先輩は名古屋に転勤して、一度だけ家に泊まりに行ったことがある。えらい陽当たりが良い部屋で朝一番で目が覚めた。その事を昨日の事のように思い出せるが、先輩のキャラと部屋の明るさが真逆でいつも笑う。ちなみにかつて50代の放送作家に「菊池、合コンで喋らない男はテレビの会議でも喋らないから」とか言われて、当時は「ああ、そうなんだ」と感じたけど、絶対にそんなことないと今なら分かる。

とにかく、そんな場所で正直に振る舞っている人って本物の正直者に違いないんだが、世の中にはそういう男がいる。

僕の小学校の時の友達に合コンにハマっている男がいる。彼はとても破天荒な人間で久しぶりに浅草で飯を食べたんだけど、彼の話を聞いていて少しハッとしてしまった。

というのも彼は僕と同い年なのだがまだ学生をしている。しかし、人の懐に入っていくのが上手いもんだから大人の友人が多い。そんな人たちから誘われて合コンに行く機会も多いらしい。

「どんな女性がくるのだい」

尋ねれば、こないだは綺麗な歯医者さんがきたとのことだった。歯医者さんが合コン来るのかと驚いたが、来ても大丈夫かと考え直した。彼は平然とした顔で話を続ける。「親知らず抜く時はいきますわ」とかたわいもない話をしつつ、彼はぶっちゃけたらしい。「俺は1日に1回しか歯を磨かないですよ。そういう男です」と。歯医者さんにそんなこと言うなよ、てかそのぶっちゃけって一体何?と思ったが彼はやっぱり正直にしかいられないらしいのだ。歯医者さんはドン引きしてたらしいけど、笑ってくれたとのことだった。

それから、年収はどれくらいの人がいいのか全員に聞く。一人の女性が700万円と答えた。なかなか高いぞ。彼はまだ学生だ。もちろん満たしてない。すると「僕はダメです。彼なら持ってます。こっちを狙ってください」と隣の人をおだてたと語った。正直者である。日本昔話にでも登録されていいぐらいの正直者だ。

そういう場で正直に自分を曝け出す人間はやっぱり本当の正直者。かっこつけてない。だから人から好かれるのかもしれない。人間なんてかっこつけて生きていくもんだと思っているから、そういうのを排除してありのままに、let it beに生きていく人間って珍しい。もちろんそんなもんだから合コンの成果はダメだったようだが、彼はその後も楽しかったことについて永遠と語ってくれた。そういう人生もある。人間はピンチの時よりも欲望をちらか着かせた時に本性が出る。そんな話。



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