久しぶりに代々木上原と下北に行った

代々木上原にある制作会社さんと打ち合わせがあった。代々木上原に行ったのはおそらく一年以上ぶりのこと。前回来た時は四人で洒落た店の酒を大量に飲んでた。とにかくおしゃれな街で高い酒を飲もうというテーマだった。大量に酒を飲んだのに解散するのが寂しくて、ピカソの絵が壁に貼られているバーに行った。隣で合コンやってる六人組がいた。声の大きい男がずっと自慢話してて、その会話を盗み聞きしながら声を殺して笑ってた。あの会社員たちは今頃何してんだろう。もうそれから一年以上経つのか。

代々木上原の坂道を登りながら、フィルムでパシャパシャと写真を撮っていた。坂道は光が入ってきやすいので、フィルムを撮るにはうってつけだ。普段行かない街に行った時にシャッターを切りたくなるのは、その街の生活音と街に住む人たちの息遣いに静かに感動するからかもしれない。

打ち合わせが終わって解散となり、僕は歩いて下北に行った。電車を使えばすぐに行けるのにわざわざ歩くのは、一瞬でもその街の住民になりたいからだろう。

下北にも何度も行った。

本多劇場で舞台を見た回数は数えきれない。鴻上さんの舞台を見て感動のあまり帰りたくなくて、ぐるぐると下北の周りを歩いてたこともあった。下北の公園で本を読むのが好きで、古本屋で本を買って一人で読んでたこともあった。なぜだか僕は下北の持っている不思議な力に魅了されている。そういう街をこれから僕はあといくつ持つことができるのかな。

下北に好きな居酒屋があって、そこは天ぷらが美味しかった。今日もフラっと行ってみると潰れないで残ってた。若い人がたくさんいた。僕は駅の近くの人がいない喫茶店に入ってプリンを食べてた。硬いプリンで丁度よかった。道行く人たちを見ながら、今日の打ち合わせのお礼を送ってた。暑かったから扇風機がかかっていて、時折やってくる風が心地よい。また夏がやってくるんだな、そんなことを思ってた。

帰りがけに千代田線に乗りながら、地下へと沈んでいく車窓の景色に目を奪われていた。空は随分と晴れてるのに、みんなマスクをしないといけなくて、そんなことを思っていると泣きそうになった。あと何回だけ千代田線に乗って僕は代々木上原や下北に行けるのだろうか。おしゃれな服を買って、もっと街に出たいな、気が付くと僕は好きな音楽をワイヤレスで聴きながら地下鉄のホームを歩いていた。




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