必死に伸ばしたその手から、こぼれ落ちているもの──2018年4月
30歳を迎えたひとの誕生日会。
「本当は一回一回が最後なのに、ずっと高校2年生の文化祭のように”まだあともう一回ある”って思いながら、30歳になるまで生きてきてしまったな、ってようやく気づいて」
その場にいたみんなが、うんうん、とうなづいている中で、私はひとり高校2年生の文化祭を思い出した。
私にとって高校2年生の文化祭は、全校1600人が楽しみにしている文化祭を運営する総責任者として文字どおり命を賭けていて、文化祭が終わったら私の命は終わってしまうんだと思っていた。
だから、この言葉を聞いたときに、むしろ私はこう思ったんだ。
「あのときのほうが今よりもずっと、一回に命賭けるくらいに必死に生きていたんじゃないか」
立ち止まりたいだけ立ち止まった4月
さて、4月のふりかえりがもう5月を10日も過ぎたタイミングでの公開となってしまったけれど、せっかくなので今月も駆け出しフリーランスの仕事と悩みの記録を残しておきます。
初めてだらけの3月に比べて4月は多少余裕があった分、悩みごとがはかどり、しかもフリーランスなので立ち止まりたいときに好きなだけ立ち止まって悶々と考え込んでいた一ヶ月でした。
もりもり悩みながら書いたり撮ったりした4月の軌跡です。
撮りました。サプライズのためにひさしぶりにスーツを着た。たいせつなひとたちのいい表情を撮れるのは楽しいなって、勉強カフェで撮影しているといつも思う。
もとくらで初めて書いた記事。公開に至るまでいろいろなことがあってすごく思い出深いのだけれど、一番は初稿ができあがったときのししょうの「いい意味で、印象に残らない」という言葉でしょうか。ぜんぜん、いい意味じゃなくておもしろかった。言葉を飾れないししょうでよかったと思っています。イベントレポートは本当に難しくて、いっぱい相談して編集部に力をお借りして、なんとか公開できました。
もうこれ2月のイベントなので自分の写真の下手さに向き合うのとつらいのですが、ここから前に進んでいると信じたい。忘れられない記事になりそう。
撮りました書きました。後輩ちゃんずがみんな「菊池さん菊池さん」と声をかけてくれて本当にかわいいのでついつい写真もたくさん撮りました。
友だちが主催した花巻ハッカソンで気づいたことを書きました。はやく花巻にもう一度行って、ここで出会った友だちが焼いている焼き芋を食べたいんだってずっと思ってる。もう一度会いたいひとたちがたくさんできた1泊2日でした。
撮りました。この回から一人で撮影に行くことになったのですが、灯台もと暮らしの小山内さんと一緒に取材に行けるのは楽しいです。まだまだ自分の「撮らなきゃ」に意識がいきすぎてリラックスしてもらうことがうまくないので要勉強。(撮影のときはいつも冷や汗をかくし音が聞こえません)
自分のnoteでも花巻ハッカソンについて書きました。これを今書きとめなきゃって思った。それくらいに、私にとってすごく大切な2日間だったのでした。
めちゃくちゃ頑張っている同世代に出会えたこと。フリーランスになって、変に「お金」「仕事」にとらわれすぎていたのかもしれないと思いました。彼らはなんのためでもなく、自分の未来を築くために頑張っていた。そしてその未来は周りのひとの幸せと一緒に描かれていた。最高。
そして、高校の頃からの友だちの、ひとを惹きつける力をもう一度目の当たりにしたこと。悔しいくらいに圧倒的じゃんね。きみのやりたいことに、こんな多くのひとが自ら巻き込まれるなんて、やっぱりきみは最高。
感想をもらえて、とってもうれしかった。ひとりとひとりから始まる小さい物語の力を信じて、これからも互いに歩いていきましょ。
とにかく自分のことしか見えていなかった3月がすぎて、組織のことを考えざるをえないきっかけがたくさんあった4月。多分どこかで、フリーランスになったら個人プレーでいい、みたいに考えていた節があった気がするけれど、結局人とどう関わりながら仕事をしていくか、っていうところに行き着きました。
で、関わっているならなにかしら貢献をしたいなって気持ちもあるけれど、でも難点も結局フリーランスであるということに戻ったりもする。
4月は3月の花巻ハッカソンから動き出したプロジェクトとの接点の多い月でもありました。自分の目の前に悶々として立ち止まっている中で、ガンガン駆け抜けていく様子をそばで見ていられるのは爽快。
なんとか自分なりのやり方で花巻と花巻で出会ったひとたちを応援したくて、花巻のことをいっぱい考えて、多忙公務員くんの時間を15分だけもらって電話したりみんなでメッセンジャーでブレストしたりもしました。ちょっとつまづいたりもしながら、でもやっぱり一人でもいいからやってみようと思えるのは、一人でも開発を進めているやなさんの背中に勇気づけられているところもあったりするんだろうな。これからもゆっくり、進んでいこ。
ちょこっと編集しました。最近はししょうが提出する原稿をほとんど見せていただいていて、編集がだいすきなのですが経験不足なので勉強になる。
この2本はじつは灯台もと暮らし以外で初の署名入りになった記事で、これも思い出深いもの。そもそも小学生の頃から動物図鑑が愛読書なくらいに動物がだいすきなので、目をキラキラさせながらお話を聞いていました。書くのもとっても楽しかった。担当者さんから「この記事の滞在時間がすごく長い」と教えていただけて、すごくうれしい記事でした。
小学生の頃の夢が南極探検隊になってペンギンを見ることで、こういう仕事をちょっとずつ積み重ねていけばなんとか「仕事で南極に行く」って道も開けるのでは…!と思えた記事。仕事で行きたいのだ、仕事で。
これはなかなか写真編集がうまくいかなくて苦戦。しかも自分で撮った写真よりもやっぱりししょうが撮った写真のほうが圧倒的に良くて、くやしかった。くやしいけど、写真と写真編集の上達がいまいちという事実にぶつかったので、いつもの(超リスペクトしている)美容師さんに相談したりもしました。ひとつインプットの方法を教えてもらったから、少しずつでも頑張っていきましょう。だって言葉以外の表現方法がほしいんだもん。
4月最後は、世界一周中の佐田さんと毎月1本じっくりじっくりつくっている【今日の一枚】シリーズ。他の媒体はライターさんと編集者の原稿のやりとりが1往復もないところも少なくないようなのですが、【今日の一枚】はじつは3往復くらいさせながらぜいたくにつくっています。毎回お付き合いいただけてしあわせだなあって感じながら、やっぱりこれくらいじっくりつくれると最高に楽しいなって思うのです。今回の原稿はインドから届きました。
おまけですが、成り行きで今月は自分の写真と言葉を組み合わせてポストカードみたいなものをつくりました。印刷がすんごい難しくてキンコーズでおろおろしたけれど、初めてのことをやってみるのはいい刺激だった。自分でつくったもので、自分でお金をかせぐっていうことをやってきていないので、こういう自分の作品づくりもちょっとずつ進めていきたい。
4月で一番うれしかったこと
いろいろあったはずが、もうダントツで、最終日に滑り込んできたひとつのブログになりました。一番一番、うれしかったです。
いつも私のわがままに付き合っていただいているのに、こんなふうに言っていただけて、本当にしあわせだなって思った。
あとは久しぶりに参加したSUSONOの2回のイベントも、糸井重里さんと佐々木俊尚さんの対談、松浦弥太郎さんの公開インタビュー、どちらも参加できてよかったです。なによりも、たくさんのすごい仕事をなし得てきているこの3人とイベント後にたまたま目が合ったときに、それぞれふっとほほえみを交わせて、あったかかった。やわらかかった。
4月で一番印象に残った記事
嘉島さんの坂本龍一さんインタビュー記事。嘉島さんの記事にはいつも心揺さぶられている気がしていて、言葉から本当がにじみ出ていて、すっごいなあって思っています。
先月の振り返り記事はこちら
もう一度読んでみると、一ヶ月前は全然違うことを考えていたんだなっておもしろい。最近書き残すということをプライベートであまりやっていなかったので、今月は遅くなっちゃったけど、一ヶ月ごとでも続けていきたいな。
とってもうれしかったです、お二人ともツイートありがとうございました!
モヤモヤの理由
さて最後におまけとして、駆け出しフリーランスな私が4月に一番悩んだことを。
フリーランスになろうとたいして決意もしないまま、フリーランスが持ちにくいと言われる「育ててもらえる環境」を手にしてしまい、そのまま走ってきて、今。
私は守られすぎている。
何にも守られずに自分の名前で仕事をとりにいっている、わけでは全くない、何のリスクもとっていない、他人のつくったプラットフォームにフリーライドしているだけの私の手からは何がこぼれ落ちているんだろう、と時に思うんだ。
まあでも散々立ち止まった結果のこの悩みへの答えは、今やるべきことをどんどんやりながら、次の挑戦に向けて力を貯めるしかない、かな。
さて、5月。
すでにこの10日間、なんだか〆切ばかりで、5月はまたギアを何段階か上げてかけぬける必要がありそうだけれど。アウェイな場に身をさらすこと、インプットすること、自分の作品をつくることもきちんとやっていきましょう。その先に、つかみたい未来があるから。
5月もきくちをどうぞよろしくお願いします。
言葉をつむぐための時間をよいものにするために、もしくはすきなひとたちを応援するために使わせていただこうと思います!